就職氷河期に就職活動した野口さん(仮名)は、「5年後にはS社に転職する」という思いを秘めてI社に就職。I社でS社に必要とされる技術を磨いた上で、S社の中途採用に応募しましたが、その結果は思いも寄らぬものでした。
本記事はパソナが運営する人材紹介サービスブランド「パソナキャリア」からITmediaキャリアに寄稿された記事に加筆・修正して転載しています。
野口さん(仮名)は大学時代、メーカーを中心に就職活動を行いました。大学の研究室の推薦枠もあったのですが、入社後のしがらみのことを考えると何となく嫌で、自力で就職活動を行うことにしたのです。
野口さんが就職活動を行った時期は、就職氷河期といわれた時代です。そもそも新卒を募集していなかったり、募集していても若干名の募集だったりと、就職活動は大変厳しいものでした。野口さんは当初有名な大手メーカーを中心に応募していましたが結果は振るわず、最終的に1社だけ内定をもらえたI社に入社を決めました。
それなりにI社は気に入っていましたが、心の中ではこう決めていました。「この会社でスキルを身に付け、5年後にはS社に転職する」と。
入社後の配属についてもS社を意識して、携帯電話向けの組み込みソフトウェア開発を希望しました。そして、野口さんの希望どおり、携帯向け組み込み開発のプロジェクトの一員となったのです。
S社の応募要件を確認し、できるだけその応募要件に当てはまるよう、S社で必要とされるOSや言語を意識して勉強するようにしました。業務時間外に、転職時のPRになるように資格取得のために勉強を行い、情報処理技術者試験の「テクニカルエンジニア:エンベデッドシステム」に合格することができました。
このように、S社への転職という目標のため、着々とスキルを身に付けていましたが、日ごろの業務では、言われたものを作るだけで面白くないと感じることがありました。そんなときには、技術力を身に付けてS社に転職することを考え、さまざまな工夫をするなどして業務をこなしました。
I社に入社してから6年が経過。野口さんは、自分なりに技術力も付いたように思ったそうです。この6年でプロジェクトメンバーからサブリーダー、そしてプロジェクトリーダーとしてプロジェクトを管理するようになっていました。そして担当していたプロジェクトは、そろそろ終了しそうです。
ちょうどそのころ、野口さんの知人が人材紹介会社経由で希望の会社に転職したと聞いたのです。そこであわてて人材紹介会社に登録し、転職の手続きを進めました。もちろん、狙うはS社です。S社に応募したところ書類選考は難なく通過し、面接となりました。
そして本番、S社の面接です。野口さんは正直なところ、質問内容に対して何を答えたのかしっかりと覚えていません。想像以上に緊張していたようでした。面接の結果は、残念ながら不合格でした。
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