Windows 8テクノロジーを継承する組み込み機器向けOSの新機能:ココが変わったWindows Embedded 8 Standard(1)(1/2 ページ)

マイクロソフトの組み込み機器向けOS「Windows Embedded 8 ファミリ」の1つ、「Windows Embedded 8 Standard」にフォーカスし、“強化された機能”を解説する。

» 2013年05月13日 10時43分 公開
[松井俊訓/監修:杉本拓也(富士通ソフトウェアテクノロジーズ),MONOist]
ココが変わったWindows Embedded 8 Standard

 本連載では、マイクロソフトの組み込み機器向けOS「Windows Embedded 8 ファミリ」について、OSの概要から開発ツールの利用方法までを幅広く解説していきます。

 Windows Embedded 8 ファミリは、2012年に、パシフィコ横浜で開催された「組込み総合技術展 Embedded Technology 2012」で発表され(関連記事1)、2013年3月に正式版がリリースされました(関連記事2)。

 Windows Embedded 8 ファミリは、以下のラインアップで構成されています。

  • Windows Embedded 8 Pro
  • Windows Embedded 8 Standard
  • Windows Embedded 8 Industry

 「Windows Embedded 8 Pro」は、Windows 7 for Embedded Systemsの後継で、Windows 8の“フル機能”を提供する組み込み機器向けのOSです。「Windows Embedded 8 Standard」は、Windows Embedded Standard 7の後継OSに当たります。これから解説する開発ツールを用いることで、用途に応じて任意にカスタマイズできるWindows 8ベースの組み込み機器向けOSです。「Windows Embedded 8 Industry」は、Windows Embedded POSReady 7の後継OSです。これまではPOSなどの小売業向けの端末をターゲットとしていましたが、製品名に“Industry”とある通り、小売業だけではなく、製造業などへの展開も視野に入れたOSになっています。

 本連載では、2番目に紹介したWindows Embedded 8 Standardにフォーカスして解説を進めていきます。早速、Windows Embedded 8 Standardで強化された機能を見ていきましょう。

1.デバイスブランディング

 Windows Embedded 8 Standardでは、GUI(Graphical User Interface)デザインをブランドイメージや製品イメージに合わせてカスタマイズできる機能が強化されています。“Windowsライク”なGUIを抑え、表現したいイメージに合わせて画面上のデザインを差し替えることが可能です。

 例えば、Windows Logon Screenなどの画面をカスタマイズできます。また、変わったところでは、一般的に“ブルースクリーン”といわれるCrash Screenも差し替えることが可能です。

 特に、コンシューマ向け機器では、デザインも重要な製品要素の1つとなります。この「デバイスブランディング」を利用することで、製品のイメージを統一することができます。

2.Unified Write Filter

 従来バージョンのWindows Embedded Standardのファイルシステム保護機能は、Enhanced Write Filter(EWF)とFile-Based Write Filter(FBWF)の2種類が用意されていました。


 今回、Windows Embedded 8 Standardで新しく追加された「Unified Write Filter(UWF)」は、Enhanced Write FilterとFile-Based Write Filterの双方の利点を組み合わせて、ファイルシステム保護を行う機能です。Unified Write Filterでは、セクターベースの保護とファイルベースの保護を行うことが可能です。また、レジストリの保護は、Windows Embedded Standard 7まではRegistry Filterを用いていましたが、Unified Write Filterにもレジストリ保護機能が統合されました。

 ただし、互換性維持のため、Enhanced Write Filter、File-Based Write Filter、Registry Filterは廃止されておらず、Windows Embedded 8 Standardでも利用可能です(表1)。

ファイルシステム保護機能 セクターベース保護 ファイルベース保護 レジストリの保護
Unified Write Filter ○ ○ ○
Enhanced Write Filter ○ − −
File-Based Write Filter − ○ −
Registry Filter − − ○
表1 ファイルシステム保護機能

 Unified Write Filterには、「Unified Write Filter Servicing Mode」という機能が用意されています。Unified Write Filter Servicing Modeに移行させて、Windows UpdateやWindows Server Update Services(WSUS)からOSのアップデートプログラムを適用することが可能です。

 Unified Write Filterは、「UWFMgr」というコマンドラインツールを利用して、Unified Write Filterの設定を変更できます。その他、後述の「Embedded Lockdown Manager」で、GUIから設定が可能になっています。Unified Write Filterを利用することで、保守面において管理者の負担を軽減でき、柔軟なファイルシステム保護が可能になります。

3.Embedded Lockdown Manager

 Windows Embeddedには組み込み機器向けの機能として、以下のロックダウン機能が提供されています。

  • Unified Write Filter:ファイルシステムの保護
  • Keyboard Filter:特定のキーボード入力をフィルタリングする(例えば、[Ctrl]+[Alt]+[Delete]キーなど)
  • ダイアログフィルター:エラーダイアログなど、特定のダイアログ表示をフィルタリング
  • Shell Launcher:OS起動後のシェルを設定

 Embedded Lockdown Managerは、GUIからこれらのロックダウン機能の設定を行うためのコンソールを提供しています。Embedded Lockdown Managerは、Microsoft Management Console(MMC)アプリケーションのスナップインとして組み込まれています。実行しているOSに組み込まれているロックダウン機能を検出し、同機能の設定UIのみを表示します。

Embedded Lockdown Manager 画像1 Embedded Lockdown Manager

 このEmbedded Lockdown Managerコンソールは、Windows Embedded 8 Standard上で表示できます。また、Windows DesktopやWindows Server経由による遠隔地からの設定にも対応しています。

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