Windows 8テクノロジーを継承する組み込み機器向けOSの新機能ココが変わったWindows Embedded 8 Standard(1)(2/2 ページ)

» 2013年05月13日 10時43分 公開
[松井俊訓/監修:杉本拓也(富士通ソフトウェアテクノロジーズ),MONOist]
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4.Dynamic Dependency AnalyzerとModule Designer

 新たに「Dynamic Dependency Analyzer」という解析ツールが追加されました。Dynamic Dependency Analyzerは、アプリケーションの依存関係を分析するツールです。Dynamic Dependency Analyzerの実行時、または実行中に特定のアプリケーションの依存関係を分析して、アプリケーションを動作させる上で必須となるWindows Embedded 8 Standardのモジュールを特定できます。

 少し話が変わりますが、Windows XP Embeddedでは「コンポーネント」、またWindows Embedded Standard 7では「パッケージ」という名前でOSの機能が管理されていました。それに対し、Windows Embedded 8 Standardでは、「モジュール」という名前でOSの機能を管理しています。OSに含まれていないアプリケーションやドライバをWindows Embedded 8 Standardに展開する場合は、「カスタムモジュール」を作成して組み込むことができます。このカスタムモジュールを作成するツールが「Module Designer」です。


Module Designer(1)Module Designer(2) 画像2画像3 Module Designer 【※画像クリックで拡大表示】

 Module Designerでは、Dynamic Dependency Analyzerで抽出した依存関係の情報を利用することで、OS機能の依存関係も考慮したカスタムモジュールを作成できます。

Dependency Scan Results 画像4 Dependency Scan Results

 従来バージョンのWindows Embedded Standardでは、Dependency Walkerなどを利用して、依存関係を調査する必要がありました。Windows Embedded 8 Standardでは、依存関係を解析するツールが用意されており、OSを構築する開発者の負担が軽減されるようになりました。

5.その他の追加機能

 その他、「Keyboard Filter」が強化されました。複数のキーボードからの操作や、Windows Embedded Standard 7では未サポートであったOn-Screen Keyboardにも対応しています。

 また、ストアアプリ用のランチャー機能が利用できます。このランチャーは、ログオンするユーザーに合わせてカスタマイズ可能です。例えば、一般ユーザーでログオンした場合は、端末利用者に表示させるランチャーを起動させ、管理者ユーザーでログオンした場合は、管理者用の保守用のランチャーを起動させるといったことを実現できます。

6.OS構築について

 実際のOS構築については、Windows Embedded Standard 7と大きく変更はありません。「Image Builder Wizard(IBW)」によるインストールや、「Image Configuration Editor(ICE)」によるカスタムImage Builder Wizardを利用したインストールを行います。

 以降で、Windows Embedded Standard 7から変更された部分のみを解説していきます。

 開発環境は、「Windows Embedded 8 Standard Toolkit」をインストールします。Toolkitをインストールすると、インストールドライブに「Windows Embedded Catalog」ディレクトリが作成されます。Windows Embedded Standard 7での「Distribution Share」ディレクトリが廃止され、「Windows Embedded Catalog」というディレクトリ名称で、OSの機能がモジュール単位で格納されています。

 また、Image Configuration Editorの「Create Media」から、カスタムImage Builder Wizardを出力する場所を選択できますが、その出力先にUSB Flash Driveを指定できるようになりました。USB Flash DriveからImage Builder Wizardを起動させる場合に利用できます。

Windows Embedded Media Creator 画像5 Windows Embedded Media Creator


 以上、今回はWindows Embedded 8 Standardで“強化された機能”を中心に解説しました。次回は、新しく追加された機能を実際に利用してみたいと思います。お楽しみに! (次回に続く)

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