新たに「Dynamic Dependency Analyzer」という解析ツールが追加されました。Dynamic Dependency Analyzerは、アプリケーションの依存関係を分析するツールです。Dynamic Dependency Analyzerの実行時、または実行中に特定のアプリケーションの依存関係を分析して、アプリケーションを動作させる上で必須となるWindows Embedded 8 Standardのモジュールを特定できます。
少し話が変わりますが、Windows XP Embeddedでは「コンポーネント」、またWindows Embedded Standard 7では「パッケージ」という名前でOSの機能が管理されていました。それに対し、Windows Embedded 8 Standardでは、「モジュール」という名前でOSの機能を管理しています。OSに含まれていないアプリケーションやドライバをWindows Embedded 8 Standardに展開する場合は、「カスタムモジュール」を作成して組み込むことができます。このカスタムモジュールを作成するツールが「Module Designer」です。
Module Designerでは、Dynamic Dependency Analyzerで抽出した依存関係の情報を利用することで、OS機能の依存関係も考慮したカスタムモジュールを作成できます。
従来バージョンのWindows Embedded Standardでは、Dependency Walkerなどを利用して、依存関係を調査する必要がありました。Windows Embedded 8 Standardでは、依存関係を解析するツールが用意されており、OSを構築する開発者の負担が軽減されるようになりました。
その他、「Keyboard Filter」が強化されました。複数のキーボードからの操作や、Windows Embedded Standard 7では未サポートであったOn-Screen Keyboardにも対応しています。
また、ストアアプリ用のランチャー機能が利用できます。このランチャーは、ログオンするユーザーに合わせてカスタマイズ可能です。例えば、一般ユーザーでログオンした場合は、端末利用者に表示させるランチャーを起動させ、管理者ユーザーでログオンした場合は、管理者用の保守用のランチャーを起動させるといったことを実現できます。
実際のOS構築については、Windows Embedded Standard 7と大きく変更はありません。「Image Builder Wizard(IBW)」によるインストールや、「Image Configuration Editor(ICE)」によるカスタムImage Builder Wizardを利用したインストールを行います。
以降で、Windows Embedded Standard 7から変更された部分のみを解説していきます。
開発環境は、「Windows Embedded 8 Standard Toolkit」をインストールします。Toolkitをインストールすると、インストールドライブに「Windows Embedded Catalog」ディレクトリが作成されます。Windows Embedded Standard 7での「Distribution Share」ディレクトリが廃止され、「Windows Embedded Catalog」というディレクトリ名称で、OSの機能がモジュール単位で格納されています。
また、Image Configuration Editorの「Create Media」から、カスタムImage Builder Wizardを出力する場所を選択できますが、その出力先にUSB Flash Driveを指定できるようになりました。USB Flash DriveからImage Builder Wizardを起動させる場合に利用できます。
以上、今回はWindows Embedded 8 Standardで“強化された機能”を中心に解説しました。次回は、新しく追加された機能を実際に利用してみたいと思います。お楽しみに! (次回に続く)
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