小さなもの好きを魅了し、多くのエンジニアの心に残る「Linuxザウルス」。このデバイスには、リネオソリューションズが作り出したLineo uLinuxが搭載されていた。29人のエンジニアを擁するリネオは2013年“これりな”という言葉にその理念を込めた。ESEC2013を前に、エンジニアでもある同社代表取締役 小林明氏に話を伺った。
「山が好き、長野が好きなど、みんないろんな好きなことがあって、ここ塩尻でやっていきたいというメンバーが多いんです」。全社員数34人、そのうち29人までがエンジニアという企業、リネオソリューションズ 代表取締役 小林明氏は自社のメンバーをそう語る。小林氏自身も、プロジェクトリーダーとしてあのLinuxザウルスのOSカーネルをガリガリと書いていたエンジニアだ。
創業当時、同じく長野県にあるメーカーのファームウェアとして独自のOSを開発していたが、順調だった同社向けの仕事を全て返上し、そしてLinuxへとかじを切った。「これからはネットワーク、そしてLinuxだ、と先々代の社長が決めたんです。1990年代、Caldera OpenLinuxの日本語化をして、ECサイトを作ったのですが、これが早過ぎました(笑)」と小林氏は語る。
この教訓から、デスクトップではなく組み込みでLinuxを活用しようと決断。そうして生まれたのが、現リネオソリューションズ(以下、リネオ)であり、そこで作り出されたプロダクトがLinuxザウルスだった。小林氏もエンジニアとして参画し、少ないメモリでさまざまなアプリケーションを実現できるよう、カーネルの調整を含めた作業を行った。その成果は皆さんご存じの通りだろう。小林氏はそのころを振り返り、「やったな! と言えるプロジェクト。Linuxを組み込みで使えることを証明できた」と述懐する。
組み込み分野においては、リアルタイム性、そして高速起動が必要とされる。いままでは独自OSを使っていた分野でも、組み込みLinuxが適用できるのではないかと考えるユーザーも増えてきた。
リネオは高速起動のソリューションとして「Warp!!」を提供している。「自動車のインフォメーション部分、ナビゲーション部分など、車載システムはエンジンを切れば電源が切れる。そういう場所には、高速起動のソリューションが必要になる分野で、かつリアルタイム性が要求されます。今後はこのような車載システムは重要なトピックとなるでしょう」(小林氏)
同社は製品だけでなく、プロフェッショナルサービスの提供体制も整えている。その理由の1つは「セキュリティ」だ。「リネオではLinuxの検証サービスも提供している。組み込みLinuxにおいても、脆弱性の問題などがクローズアップされてきた。Android系のOSは慣れていないとチェックをかけるのも大変。手慣れたエンジニアが、定期的にチェックするというようなサービスを現在計画中です」と小林氏は語る。
組み込みLinuxの適用範囲が広がれば、それだけセキュリティにも気を遣うべきシーンが増えていく。車載システムなどはセキュリティの穴がそのまま事故につながるため、組み込み分野についてもセキュリティ対策に注目が集まってくるだろう。
リネオは2013年、「これからLinuxを=“これりな”」をキーワードとし、さまざまな製品、プロフェッショナルサービスを提供している。脆弱性チェックに限らず、駆け込み寺としてのレスキューサービス「LL-rescue」や、Linuxを活用するための知識を提供する「Lineo University」など、展開は多彩だ。
リネオは「これりな」に多くの意味を持たせたいと考えている。これから“も”Linuxという意味の「これりな」であり、さらにこれから“は”という「これりな」だ。「これまでLinuxを使っていなかった会社を対象にしてこれりな講座を2回ほど開催した。そのなかでこれからLinuxを検討、採用していこうという動きを感じた。従来使ってきたOSからの移行にあたり、どんなソリューションがあるのか悩まれている。そこをまずフォローしていきたい」。
2013年5月8日より東京ビッグサイトで開催される「第16回 組込みシステム開発技術展(以下、ESEC2013)」でもリネオはさまざまな展示、発表を行う予定だ。LiNeOSの提携パートナーである台湾NewSoft社とのデモや、高速起動ソリューションWarp!!の最新情報も公開予定である。また、同時開催のソフトウェア開発環境展、三菱電機ブースにおいても、リネオが提供する開発環境や、Mimer SQL Embedded、SmartU2の展示が行われる。
「OS戦国時代がやってきた」と小林氏は指摘する。話題のTizen、Firefox OSなど、モバイル系で採用されるOSはLinuxだ。その中で、組み込みLinux開発の歴史を持つリネオの先見性と蓄積されたノウハウは大きい。
小林氏はESEC2013に対して「CPUはマルチコア化が進む。その性能が出せるかというのが課題だろう。マルチコアを使えるような組み込みソリューション――そこで新しい技術が出るか注目したい」と、エンジニアの視点で語った。このエンジニア集団がどのようなソリューションを見せるのか、ESEC2013をぜひ注目してほしい。
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提供:リネオソリューションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2013年5月18日
組み込みLinuxの専門技術集団であるリネオソリューションズ。「第15回 組込みシステム開発技術展(ESEC2012)」では、Linux搭載機器の開発を後押しする同社のコア・プロダクトやプロフェッショナルサービスの訴求に加え、パートナー企業とのコラボレーション展開を強くアピールしていた。本稿ではその模様を特別リポートとしてお届けする。
組み込みLinuxに関する高い専門性を武器に、開発環境からソフトウェア、関連技術・サービスまでを幅広く手掛けるリネオソリューションズ。先に行われた「Embedded Technology 2011/組込み総合技術展」では、組み込みLinux超高速起動ソリューション「Warp!!」や、Linuxシステムを搭載した機器のリモート管理を実現する「SmartU2」など、次期製品の開発を後押しするソリューションの数々が披露された。
Linuxを製品に搭載するために求められるテクノロジーを追求し続ける組み込みLinuxの専門技術集団、リネオソリューションズ。豊富な製品開発の実績とノウハウを基に、製品の使い勝手や付加価値を高める組み込みLinux開発向けのプロダクト/サービスを数多く手掛け、開発者を支援する。
長野県・塩尻市に拠点を置く、組み込みLinuxの専門技術集団「リネオソリューションズ」。組み込みLinuxの土壌で長年培った高い専門性を武器に、開発環境からソフトウェア、関連技術・サービスまでを幅広く手掛け、組み込み開発における高付加価値を提供し続けている。本稿では、その高い専門性に裏打ちされたソリューション、組み込みLinux“超”高速起動技術「Warp!!」を中心に、リネオソリューションズが提供する“価値”に迫る。