組み込みLinuxに関する高い専門性を武器に、開発環境からソフトウェア、関連技術・サービスまでを幅広く手掛けるリネオソリューションズ。先に行われた「Embedded Technology 2011/組込み総合技術展」では、組み込みLinux超高速起動ソリューション「Warp!!」や、Linuxシステムを搭載した機器のリモート管理を実現する「SmartU2」など、次期製品の開発を後押しするソリューションの数々が披露された。
組み込みLinuxの高い専門性を武器に、開発環境からソフトウェア、関連技術・サービスまでを幅広く手掛け、組み込み製品開発における高付加価値を提供するリネオソリューションズ(以下、リネオ)。彼らは組み込みLinuxの黎明期から顧客視点に立ち、ずっと考え続けている――「次期製品を競争力のあるものにするために備えるべき機能は何か?」「製品を市場に早く投入するために必要なものは何か?」「開発する製品の品質を高めるために必要なものは何か?」「それらを後押しするためのサービスは何か?」を……。
競争優位につながる価値をどのように生み出していけばいいのか。ハードウェア単体での製品の差別化が難しくなってきているいま、そんな悩みを抱えているエンジニアも多いのではないだろうか。
――リネオはこうした悩みを解決し、次期製品の開発を後押しするソリューションの数々を、2011年11月16〜18日の3日間、パシフィコ横浜で開催された「Embedded Technology 2011/組込み総合技術展(以下、ET2011)」で余すことなく披露した。
リネオのET2011ブースで最も注目を集めていたのは、イベント開催直前に発表されたばかりの組み込みLinux超高速起動ソリューションの最新版「Warp!! Version 3.2」に関する展示デモだ。Linuxを搭載した組み込み機器を電源OFFの状態から高速に起動させるソリューションで、2008年のリリース以来、その「速さ」と「使いやすさ」には定評があり、国内外の多くの機器で採用が進んでいる。また、機器の未使用時には待機電力を消費することなく、完全に電源をOFFにできるため「エコ」の観点からも注目を集めている。
Warp!! の“使いやすさ”を示す特長としてまず挙げられるのは、対応CPUアーキテクチャの豊富さだ。組み込み分野で一般的なARM、MIPS、SH(SuperH)、Power Architectureはもちろんのこと、インテル Atomプロセッサもサポートする。また、マルチコアプロセッサ向けのSMPやAMP Linuxシステムへの対応も可能だ。その他、導入のしやすさ、スナップショットイメージの保存モードや起動方法の選択など、その使い勝手にもリネオはこだわりを見せる。
そして、最新のVersion 3.2では“速さ”にも磨きが掛かっている。特に今回、圧縮伸長アルゴリズムを一新したことで、前バージョンと比べて約2倍の高速化を実現し、ノンストレスなハイバネーション機能の搭載が可能となった。さらに、スナップショットイメージの圧縮率が従来比で約20%向上、解凍時間も従来比で約20%短縮し、さらなる高速化を実現している。「『Warp!!』は、スナップショットイメージを単に圧縮しているわけではない。本当に必要な部分だけを選別し、シュリンクしてから圧縮をかけている。だからこそ保存サイズをこれほどまでに小さくできる。また、Linuxを知り尽くしたリネオだからこそできるマルチコア対応も、他に類を見ない特長といえる」(同社)。
通常の起動:14.77秒 | Warp!!を搭載:1.07秒 | |
搭載RAM:128Mバイト | 保存サイズ:4.5Mバイト | |
表1 最新版「Warp!!」の起動速度とイメージの保存サイズ。アットマークテクノ製「Armadillo-500FX(フリースケール・セミコンダクタ製 i.MX31 532MHz搭載)」/Linux kernel Version 2.6.26。※電源ONからX Windowの表示までの時間をストップウオッチで計測(リネオ調べ) |
Warp!! はこれまで業務用端末や情報家電などで採用されてきたが、今回、スナップショットイメージの圧縮伸長の性能が劇的に向上したことで、「頻繁に電源をON/OFFし、バッテリーライフを気にするようなタブレット端末にも使えるのではないか」(同社)と、その適用範囲はますます広がりそうだ。
さらにネットワークを介し、Linuxシステムを搭載した機器のリモート管理を実現する「SmartU2」にも注目したい。SmartU2を構成するのは、「SmartU2 Manager」をコアとした管理用サーバソフトウェア群と、Linuxシステムを搭載した機器に組み込まれる「SmartU2 Agent」の2つだ。機器側のSmartU2 Agentが、サーバ側と定期的に交信し、サーバに格納された更新情報に応じて更新データを取得して、機器側のシステムのアップデートを行う。これにより、「例えば、全国各地に設置された機器やメンテナンスが困難な場所に設置された機器などのシステム管理を効率化でき、大幅な管理コストの削減が可能となる」(同社)。
ET2011の会場では、開発が完了したばかりの最新バージョン「SmartU2 Version 2.1」が初披露された。今回、新たに機器側からのデータアップロード機能を搭載。例えば、機器のシステムログや監視カメラ端末で記録した映像・画像などの各種ファイルをサーバ側にアップロードできる。「SmartU2は、ソースコードライセンス提供になるので、ユーザー自身で自由にカスタマイズすることが可能だ。そのため、ダウンロードだけでなく、アップロードの仕組みもあらかじめ用意しておけば、いろいろな使い方に対応できる。例えば、機器の障害情報をアップロード機能で収集し、それを基に、後日その障害を回避するシステムアップデートをリモートから実施するという使い方がすぐに実現できる」(同社)。
その他にも、ANSI/ISO規格 SQL準拠でメンテナンスフリーが特長の組み込みデータベース「Mimer SQL Embedded」のAndroid対応ソリューションや、Linux/Androidシステムの実行状況を可視化するツール「Vzet」の最新版の展示デモも行っていた。
リネオが手掛ける技術/ソリューションは、基本的にLinuxを搭載する製品に組み込まれて初めて力を発揮する。その存在は決して華やかで目立つものではないが、次期製品の開発を陰でしっかりと支え、それを後押ししてくれる――。そんな“縁の下の力持ち”のような存在に、長年Linux一筋で突き進んできたリネオらしさを感じずにはいられない。
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提供:リネオソリューションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2012年2月9日
Linuxを製品に搭載するために求められるテクノロジーを追求し続ける組み込みLinuxの専門技術集団、リネオソリューションズ。豊富な製品開発の実績とノウハウを基に、製品の使い勝手や付加価値を高める組み込みLinux開発向けのプロダクト/サービスを数多く手掛け、開発者を支援する。
長野県・塩尻市に拠点を置く、組み込みLinuxの専門技術集団「リネオソリューションズ」。組み込みLinuxの土壌で長年培った高い専門性を武器に、開発環境からソフトウェア、関連技術・サービスまでを幅広く手掛け、組み込み開発における高付加価値を提供し続けている。本稿では、その高い専門性に裏打ちされたソリューション、組み込みLinux“超”高速起動技術「Warp!!」を中心に、リネオソリューションズが提供する“価値”に迫る。