次世代パワー半導体材料であるSiCとGaN。省エネルギーや小型化の切り札とされており、実用化に期待がかかる。現在、開発競争において、どの地域が進んでおり、どの企業に優位性があるのだろうか。それを解き明かすには特許の出願状況を確認、分析することが役立つ。
本連載の第1回と第2回では、「SiC(炭化ケイ素)」と「GaN(窒化ガリウム)」を取り上げて、パワー半導体を作り上げる前提となるウエハーに注目し、技術開発や事業開発を特許出願の動向から解説しました。
第3回となる今回の地域編と、次回の企業編ではパワー半導体のウエハー基板上に作成するデバイスの知的財産(知財)動向に注目します。
次世代パワー半導体の事業開発に取り組んでいる企業には、2つのタイプがあります。第1のタイプは、これまでのSi(シリコン)パワー半導体事業の将来展開として事業開発に取り組んでいる企業群です。対して、第2のタイプの企業群はパワー半導体への新規事業参入を狙い、次世代パワー半導体事業開発を進めています。
Siパワー半導体事業の将来展開として次世代パワー半導体に取り組んでいる企業としては、米Fairchild Semiconductorや、ドイツInfineon Technologies、米International Rectifier、米Microsemi、米Powerex、スイスSTMicroelectronics、サンケン電気、新電元工業、デンソー、東芝、トヨタ自動車、パナソニック、日立製作所、富士電機、三菱電機、ルネサス エレクトロニクス、ロームなどが挙がります。
パワー半導体への事業参入を狙い、SiCやGaNなどの次世代パワー半導体事業開発を進めている企業は、米Alpha & Omega Semiconductor、米Cree、米GeneSiC Semiconductor、ドイツMicroGaN、米Nitronex、米Semisouth Laboratories、米United Silicon Carbide、新日本無線、富士通セミコンダクターなどです。
インターネットで公開されている情報で確認できた範囲から、次世代パワー半導体デバイスに取り組む企業の状況をまとめました(表1)。各社の手掛ける次世代半導体の種類や、企業の拠点とする国や地域、そしてどのようなデバイスに取り組んでいるかが読み取れるはずです。
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