CAMの弱点は、設計者が表現した部品の形状をNC工作機に完全には伝えられないことにあるという。このため加工後の表面にわずかな荒れが生じる。シーメンスはこの課題に切り込む「Advanced Surface」技術をJIMTOFで展示する。
シーメンス・ジャパンとシーメンスインダストリーソフトウェア(シーメンスPLMソフトウェアの日本法人)は2012年10月31日、共同でシーメンス統合の現状と、展示会への出展内容を発表した。
2012年11月1〜6日の日程で開催される「第26回 日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2012)」(東京ビッグサイト)では、シーメンス・ジャパンの「SINUMERIK MDynamics」技術や、「SINUMERIK Ctrl-Energy」技術などを見せる。出展ブースは東5ホールのE5013だ。
SINUMERIK MDynamics技術の中でも加工後の見栄えに強く影響するのが、「Advanced Surface」技術だ。NC工作機械はCAMで作成された座標データを基に材料を切削する。座標データは離散値を採るため、曲面を切削する際には何らかの補完技術(スムージング)が必要だ。
「従来の補完技術は、現在まさに切削中の工具パスだけを見ており、一次元情報だといえる。一方、当社のAdvanced Surface技術(図1)では、1つ前と1つ後の切削パスを参照しており、二次元の補完ができる。このために加工面が不均一になりにくい。このような先読み機能は切削加工の高速化にも役立つ」(シーメンス・ジャパン インダストリーセクター 産業オートメーション&ドライブテクノロジー事業本部工作機械営業本部で本部長を務める折橋弘治氏)。
SINUMERIK Ctrl-Energy技術は、工作機械にも省エネ化が必要だという同社の取り組みの第一歩ともいえる(図2)。操作パネルのCTRLキーと、Eキーを同時に押すことで工作機械のエネルギー消費量を表示できる他、あらかじめ設定した電源モードへと切り替え可能だ。例えば、周辺機器の電源を昼休みに切るといった使い方に向く。
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