天然資源シミュレーションツールも手に入れたダッソー・システムズ。次の10年はますます仮想空間でのシミュレーションを拡大するようだ。
2012年5月21日、仏ダッソー・システムズ社長兼最高経営責任者 ベルナール・シャーレス氏が来日、同社の長期ビジョンを日本向けに発表した。仏ダッソー・システムズは2012年2月に「3Dエクスペリエンス」をキーワードとした新しい長期経営計画を発表したばかりだ。
会見でシャーレス氏は、「過去10年、PLMを推進してきたが、次の10年は3Dエクスペリエンスという当社のビジョンを、われわれのターゲットとする12業界に浸透させる」と語った。従来、11業界を対象としていた同社が、今回12業界としているのは、自然環境のシミュレーション分野を新たに追加したことによる。
2012年4月26日に買収を発表したGemcom Software International(以下、Gemcom)の地質モデリング/シミュレーションツールが、同社製品ポートフォリオに加わることで、従来の製造業、医療、アパレル、食品など11業種に加え、天然資源開発分野も同社のターゲットとなる。Gemcom製品の名称は、今後「GEOVIA」となり、地質以外の天然資源関連のモデリング/シミュレーション全般をカバーする予定だ。
シャーレス氏の後に続いて、同社 上級取締役副社長 モニカ・メンギーニ氏が登壇、具体的な製品戦略を説明し、今後注力していく領域は「ソーシャル」「インダストリ」「コンシューマ・エクスペリエンス」の3つであるとした。
ダッソー・システムズでは、先のGemcom社買収に先立つ2012年2月9日に、Webサービス提供企業である「Netvibes」社を買収している。Netvibesは、API経由ないしRSSなどの定型フォーマットでフィード配信可能な各種の情報を集約、カスタマイズできるAjaxベースのWebサービスを提供している。「ソーシャル」ではこのNetvibesのサービスが今後、企業内の情報連携に活用される可能性がある。
一方、産業界に対しては「シンプルにアプローチする考え。2012年末には、業界別のソリューション展開をスタートさせ、2年以内には12業界全てに個別のソリューション提供を行っていく」(メンギーニ氏)計画である。
また同氏は、「製品ごとではなく、ニーズに合わせた機能コンポーネントの複合的な組み合わせで、各業界の価値創造につながるソリューション提供を進める」とし、製品の機能モジュールごとの販売を進めていく方針を明示した。
もう1つの「コンシューマ・エクスペリエンス」について、メンギーニ氏は「顧客は既に製品そのものではなく所有や購買行動そのものに価値を見いだしている。製品における価値創造をサポートするようなシステムを提供していく」としており、顧客行動のシミュレーション領域の強化を示唆した。
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