日本の常識が通用しない! 韓国製品の数々。機械エンジニアが韓国に旅立ち、その街中にある家電や自動車について、じっくり観察・考察した。
韓国の大手企業から製図研修を受注し渡航した際に、日本国内では見ることの少ない韓国製品に焦点を当てて現地を歩いてきました。以下に、機械エンジニアの視点で感じた韓国をレポートします。
日本では家電製品を購入する場合、駅前や郊外にある大型家電量販店に行くことがあると思います。韓国では日本のような電化製品に特化した大型量販店が少なく、家電製品を比較・選定するための店舗形態として、総合スーパーやデパート、あるいは規模は小さくなりますがサムスンやLGの直販店があります。
韓国におけるこれらの店舗の特徴は次のようなものです。
今回は総合スーパーで韓国における家電製品の実態を探ってみました。韓国の家電製品を見てみると、“日本の常識が通用しない”製品が幾つかあります。
日本製品と大きく異なる代表格の家電製品といえるのがエアコンです。
日本でエアコンというと、室内機は壁掛けタイプで横長の形状が一般的です。ところが韓国のエアコンの室内機は縦型(スタンド型)です。日本と部屋の構成や室内のスペースの違いによるものでしょう。ちなみに、室外機は日本と同じ四角い形状でファンが見えるタイプです。
冷蔵庫は日本と変わらないデザインで、大容量の冷蔵庫が展示エリアの大半を占めています。日本製の大型冷蔵庫といえば、サイズは600L前後ですが、韓国では700L以上のものが売れ筋とのことです。
また、韓国というお国柄、キムチ専用の冷蔵庫も販売されています。専用冷蔵庫のニーズがあるほど家庭でも大量のキムチが消費されるとは、さすが国民食です。
余談ですが、現地(韓国)にいるエンジニアに話を聞いたところ、インド向けに大型冷蔵庫を展開したとき、扉に鍵が掛かるタイプがヒットしてシェアを大きく伸ばしたとのこと。インドで大型冷蔵庫の購入するのは富裕層であり、そのような家庭には使用人がおり、使用人がこっそり食料品を食べたり持ち帰ったりすることを防ぐことを目的とした製品であったためヒットしたということです。現地の事情に合わせた視点で商品企画しなければいけない典型的な例であるともいえます。
日本で販売されているアジア製のノートPCといえば、レノボ(中国)、ASUSTeK Computer(略称はASUS。台湾)、エイサー(台湾)などが有名です。欧米では家電製品のブランド力を生かして、サムスンやLGなどの韓国製が日本製と同等あるいはそれ以上の知名度を持ちます。
ノートPCやデジカメを購入するとき、日本人の場合は、「同じ価格であれば韓国製より日本製が安心」といった心理が働き日本製を購入するでしょう。ところが欧米人の場合、「同じ価格であれば有名ブランドである韓国製を……」という心理が働いて購入するようで、その結果、韓国製のPCやデジタルカメラが世界的にシェアを伸ばしているといいます。ノートPCやデジカメにおいては、メーカーによる性能差や信頼性の差がなくなっており、ブランド力が購買力につながっていることが伺えます。
ほかに、個人的に興味を持ったものとして、コインランドリーで見かけた洗濯用洗剤の自動販売機と総合スーパーで見かけたATMを紹介します。
洗剤の自動販売機は、コイル形状の送り出し機構を使った構造が外から確認できました。日本だと、菓子パンのなどの自動販売機でよく見られるタイプです。デザインや機構から判断すると、少し年代物の古い機種であるか、コスト優先の製品であることが分かります。
また、総合スーパー1階のエスカレータ前には、国内でも見掛けるような小型ATMが設置されています。日本国内の物とは若干デザインが異なりますが、同等の操作性や機能を持っているようです。
ATMを紹介したついでに、韓国の決済事情について簡単に紹介します。韓国の最高額紙幣は2009年に発行された5万ウォンで、日本円に換算すると3500円程度(2011年8月時点)しかなく、現金としての使い勝手がよいとは思えません。そのため、以前から韓国はカード社会になっており、クレジットカードや「T-money」と呼ばれる電子マネーが普及しています。
電子マネーというと、日本ではカード型やお財布携帯が主流ですが、韓国ではカード型に加えてネックレス型、携帯ストラップ型、バンド型があり、コンビニなどでそのハードウェアの購入や入金処理ができます。T-moneyは韓国鉄道や地下鉄、バス、タクシー、コンビニ、ショッピングモール、書店、自販機などで利用できます。韓国旅行する際に購入しておくと大変便利なアイテムです。
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