それでは新興国で売れる新商品開発するには、どうすればよいのでしょうか。新商品の売り上げを落とす原因を以下にまとめました。
とすると、上記問題を解決するには次のようなことが重要であると考えることができます。
今回は、価値の高い商品コンセプトの創出と迅速な意思決定を支援するステージゲートモデル、組織間のコラボレーションと商品コンセプトの具現化を支援するプロダクト・マネジャー制、最小の開発で最大のアウトプットを生み出す製品プラットフォーム戦略についてご紹介します。
ステージゲート型の新商品開発プロセスとは、開発プロセスを幾つかのステージに分けて、開発を進めていく手法です。ある「ステージ」から次の「ステージ」に移行する際に、「ゲート」があり、事前に設定された移行条件をクリアできれば、次の「ステージ」に進むことができるというものです。1980年代後半に米モトローラが、この手法で開発期間を半減した成果が公表され、米国において導入が盛んになったとされています(参考文献1)。
ステージゲートモデルは、図3のような「じょうご型」で表現されるのが特徴です。これは、多くの新商品に関するアイデアやコンセプトが左から投入され、開発プロセスの中で淘汰され、最終的に優秀な価値の高い商品が生き残る、という考え方です。
ステージゲートモデルのメリットは、
ことです。
ここまでの説明では、日本流のデザインレビューと、ステージゲートモデルの「ゲート」の違いが分からないと思われる方もおられると思いますので、違いを明確化していきましょう。日本流のデザインレビューと、ステージゲートモデルの「ゲート」の決定的な違いは、意思決定のやり方にあるとされています(参考文献1)。
日本流のデザインレビューとステージゲートモデルの違いを、日米のプロジェクトマネジメントの違いで説明した資料がありますので、紹介します(参考文献2)。
1番目は、「じょうご型」かそうでないか、という違いです。これは、「少産少死」と「多産少死」、「ストロー型パイプライン」と「じょうご型パイプライン」という違いで指摘されています。
2番目は、次フェーズへの移行判定が明確化か曖昧か、という違いです。「人格的」と「非人格的」、「目利き」と「ステージゲート」、「偶然の発見」と「計算合理性」、という違いで指摘されています。これは、上述した「ゲート」と日本流のデザインレビューの違いです。
3番目は、社内資源重視と社外資源重視の違いです。これは、ステージゲートモデルとは関係ありませんが、日米それぞれが得意とする製品アーキテクチャ(日本が得意とするすり合わせ型、米国が得意とするモジュラー型)と関係があると考えることもできます。
このように、プロジェクトマネジメントという考え方だけをとっても、日米で大きく考え方が異なっていることが分かります。
日本企業 | アメリカ企業 | |
---|---|---|
1 | 少産少死 | 多産少死 |
2 | プロセス思考 | 目的思考 |
3 | 人格的 | 非人格的 |
4 | 目利き | ステージゲート |
5 | Serendipity(偶然の発見) | 計算合理性 |
6 | 社内資源重視 | 社外資源重視 |
7 | ストロー型パイプライン | 漏斗(じょうご)型パイプライン |
図4 日米企業によるプロジェクトマネジメントの特徴(主なキーワードの比較) 出典:技術革新型企業創生プロジェクト(ルネッサンスプロジェクト)「10・15シンポジウム」慶應大学榊原清則教授発表資料から抜粋 |
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