Imagine Cup 2010 組み込み開発部門 日本大会の模様をお届け。学生たちはテクノロジで世界の社会問題の解決を目指す!!
――「テクノロジを活用して、世界の社会問題を解決しよう」。この壮大なテーマに挑むのは世界中の学生たち。彼らが目指すのはImagine Cup世界大会、そして、世界ナンバーワンの称号だ。
「Imagine Cup」とは、マイクロソフトが主催する世界中の学生を対象にした技術コンテストのことで、これまでスペイン、ブラジル、日本、インド、韓国、フランス、エジプトの各都市で世界大会が開催され、今年のポーランド(ワルシャワ)大会で8回目を迎える。毎年予選・審査を勝ち上がった各国の代表チームが世界大会の舞台で技術を競い合い、世界一の称号を手に入れるべく激戦を繰り広げてきた。
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⇒ | Imagine Cup 2010 |
過去6大会までは、毎回さまざまなテーマが与えられ、その課題に対し、学生たちが技術力を競い合ってきたが、昨年のImagine Cup 2009 エジプト大会から、冒頭のテーマ(テクノロジを活用して、世界の社会問題を解決しよう)が掲げられるようになった。ここでいう“世界の社会問題”とは、国連ミレニアム・サミットで「現在世界で最も懸念すべき課題」として挙げられた8つの項目―「ミレニアム開発目標(MDGs)」―を指す。
また、Imagine Cupではさまざまな部門が設けられている。今年は各部門の統廃合もあり、昨年の9部門から以下の5部門となった。各部門にエントリした学生らは、現実に起きている“世界の社会問題”に目を向け、ミレニアム開発目標からテーマを選択し、ITを用いて地球規模の難問にチャレンジしなければならない。
今回、ソフトウェア デザインと組み込み開発の2部門で日本大会が開催され、代表選考が行われたのだが、残りの3部門についてはオンライン選考で代表が決定する。つまり、日本大会が開催される2部門については、確実に世界大会への出場枠が用意されているということになる。なお、先に行われたソフトウェア デザイン部門 日本大会では、筑波大学付属駒場中高等学校の「PAKEN」が世界大会行きを決めている。詳しくは、「筑駒パ研、いよいよ世界に――センスが光るソフトウェアデザインを披露」をご覧いただきたい。
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⇒ | 筑駒パ研、いよいよ世界に――センスが光るソフトウェアデザインを披露 |
Imagine Cup 2010 組み込み開発部門 日本大会が行われたのは、2010年3月30日のこと。過去のImagine Cup 組み込み開発部門では、オンライン選考方式で出場チームを決定していたため、日本チームが世界大会に進出できるとは限らなかった。しかし、今回、初めて組み込み開発部門 日本大会の開催が決まり、確実に1チームが世界大会に進出できることとなった(これは筆者の勝手な推測だが、日本が組み込み開発の盛んなアジア圏にあり、マイクロソフトとしても非常に重要なマーケットとして位置付けている点と、昨年のエジプト大会 組み込み部門で韓国が1位、中国が2位とアジア勢の活躍が特に目立った点が、日本大会開催を大きく後押ししたのではないか? と思っている)。
さて、今大会の組み込み開発部門 日本代表の座を賭け、ステージに立ったのはサレジオ工業高等専門学校の「SP2LC」、専修大学の「Green Island」、大阪電気通信大学の「KON!!」、国立東京工業高等専門学校の「CLFS」の4チーム(プレゼンテーション順)。各チームは、マイクロソフトの組み込みOS「Windows Embedded CE 6.0 R2」と、ハードウェアプラットフォーム「eBox-3310A-MSJK(以下、eBox)」の使用を前提としたソリューションを10分間のプレゼンテーション&デモンストレーションで披露し、さらに審査員からの質問に答えなければならない。
チーム | ソリューション | 選択テーマ | メンバー |
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サレジオ工業高等専門学校 「SP2LC」 |
DeSK | 開発のためのグローバル・パートナーシップの構築 | 河村 辰也氏、野上 諒氏、矢崎 克侑氏 |
専修大学 「Green Island」 |
Green Island | 環境の持続可能性の確保 | 武林 冬樹氏、栗橋 翠氏、高野 葉子氏 |
大阪電気通信大学 「KON!!」 |
Visual expression of the structure of the homepage using Virtual Reality | 普遍的な初等教育の達成 | 平田 義尚氏、水篠 公範氏、坂口 浩洋氏 |
国立東京工業高等専門学校 「CLFS」 |
Electronic Maternal and Child Health Handbook | 幼児死亡率の引き下げ、妊産婦の健康の改善 | 有賀 雄基氏、久野 翔平氏、松本 士朗氏、Lydia LING YIENG CHEN氏 |
昨年のエジプト大会や先日行われたソフトウェア デザイン部門 日本大会を振り返ってみると、審査員から「本当に実現可能なものなのか(運用面、コスト面のほか、地域ごとの文化的な側面や法的な面で問題がないかなど)」を問いかける質問が多かったように思う。つまり、技術力やプレゼンテーション能力だけではなく、導入費用の算出や実地試験などを行い、ビジネスとして成立する裏付けとなるデータをきちんと収集・分析できているかどうかも問われるのだ。
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⇒ | サレジオ工業高等専門学校 |
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⇒ | 大阪電気通信大学 |
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さて、肝心の結果だが、組み込み開発部門 日本代表としてポーランド行きの切符を手に入れたのは、国立東京工業高等専門学校のCLFS。昨年のエジプト大会に続き、2度目の世界大会出場を決めた。
以下、準優勝が専修大学のGreen Island、3位がサレジオ工業高等専門学校のSP2LC、4位が大阪電気通信大学のKON!! という結果となった。
次ページで、各チームのオリジナリティ溢れるソリューションを見ていこう。
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