Windowsベースのアーケード基板を投入したタイトー。開発の容易さ、タイトー自身の付加価値で、アーケード機のパラダイムを変えつつある
2006年9月に行われた「アミューズメントマシンショー」。最新アーケード(ゲーム)機が一堂に会する場で、タイトーはPCベースのアーケード基板「TAITO Type X」シリーズの最新版「TAITO Type X2」(以下Type X2)を発表。同時に、SNKプレイモアなどサードパーティのゲームソフトメーカーがType X2を採用して新作の開発を進めていること、タイトー自身、前評判が非常に高いトレーディングカードゲーム「アクエリアンエイジ オルタナティブ」をType X2上で開発済みであることを明らかにした。
アーケード機の世界でもPCアーキテクチャが浸透しつつある。それをリードするのがType Xシリーズだ。
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1990年代半ばまで、アーケード基板は専用のCGボードが幅を利かせ、大手メーカーは時に何億円もの開発費用を投じて独自製品を開発していた。
状況が変わり出したのは、ソニー「プレイステーション(PS)」など、表現力の高い家庭用(ゲーム)機が登場した95年ごろから。開発コストやソフトの移植を考え、専用CGボードを使うよりも、家庭用機の高性能なチップセットを応用するのが一般的になる。例えば、「ドリームキャスト」を原点に持つセガの「NAOMI」(CPUはルネサステクノジ「SH-4」)、PS2と同じ128bit CPU「Emotion Engine」を採用したナムコの「System246」などが有名である。
そうした中でタイトーは、90年代後半より、他社から家庭用機ベースのアーケード基板をOEM供給してもらう状況が続いていたが、2000年初めにType Xシリーズの構想が持ち上がった。AM事業本部 副本部長兼開発統括部長の内藤峰氏は次のように話す。「基板の開発・製造をアウトソースするのは、他社に心臓を握られているようなもの。独自の基板が必要と考えていたが、従来のように何億円も掛けてCGボードを開発できない。そこで目を付けたのがPCアーキテクチャだった。調べてみると、ビデオカードの性能が年々上がっており、これなら行けると判断した」。
PCアーキテクチャといえば、OSにLinuxなどを使うこともできたが、タイトーは組み込みシステム向けWindows「Windows XP Embedded」(以下XP Embedded)を選んだ。「(統合開発環境の)『Visual Studio』や(マルチメディア拡張API群の)『DirectX』の開発環境がそろっている点が魅力だった。Linuxだと、こうした周辺を自分たちで固める必要がある。また、業務用途で使うものだけに信頼性を重視したので、ベンダサポートのあるWindowsしかなかった」(内藤氏)。
そのほか、約1万のコンポーネントからなるXP Embeddedは、必要なものだけを組み合わせてOSを最適化できる点や(Type Xシリーズは半分弱のコンポーネントを使用)、EWF(Enhanced Write Filter)機能など、Windows XP Professionalにはないフューチャーを高く評価した。EWF機能があれば、不意の電源オフでもプログラムやデータが保護されるので、アーケード機に無停電電源装置を組み込む必要がなくなりコストダウンが可能になる。
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