Windows移行を決断したカーナビ開発の現場からWindows Embedded採用事例(1)(1/3 ページ)

パイオニアは2004年から順次、HDDカーナビのOSに「Windows Automotive」を採用。現在ではHDDカーナビ全機種を同OSベースで開発している

» 2006年09月15日 00時00分 公開
[石田 己津人,@IT MONOist]

パイオニア製品の主力はWindows Automotiveベース

 パイオニアは文字通り、カーナビ市場をリードしてきたメーカーといえる。1990年に世界初のGPSカーナビを発売。1997年にはDVDタイプ、2001年はHDDタイプの製品を世界で初めて製品化した。同社ブランド「カロッツェリア(carrozzeria)」のカーナビ製品「サイバーナビ」と「楽ナビ」は、アフター市場で高いシェアを誇っている。


カロッツェリア サイバーナビ 取材時点における「カロッツェリア サイバーナビ」最新機種(AVIC-VH009)

長岐 孝一 パイオニア モーバイルエンタテインメントビジネスグループ 川越事業所 技術統括部 ソフト開発部 担当部長 長岐 孝一氏

 2006年春には、欧州・北米向けにHDDカーナビ、中国向けにDVDカーナビの販売を開始。高い成長性が見込める海外戦略も加速させている。

 パイオニアは、2004年からHDDカーナビのプラットフォームにマイクロソフトの車載情報端末向けOS「Windows Automotive」(「Windows CE」の応用製品)を採用し始め、現在では市販HDDカーナビ全機種がWindows Automotiveベースである。世界の中で最もHDDカーナビの立ち上がりが早かった国内市場では、すでに台数ではDVDカーナビとHDDカーナビはほぼ拮抗してきている。同社の中でも「すでにHDDタイプの構成比はDVDタイプを上回っている」(川越事業所 技術統括部 ソフト開発部 担当部長 長岐孝一氏)としており、完全な主力製品である。その先駆的な機能開発を下支えしているのが、Windows Automotiveというわけだ。

概要
1999年〜 HDDカーナビ1号機の開発を開始。また、並行してHDDカーナビ向け次期プラットフォームの仕様策定も開始する
2001年春 μITRONベースで開発したHDDカーナビ1号機を発売。次期プラットフォームの仕様策定を継続する
2002年末〜 プラットフォームをWindows Automotiveに決定。研究所でプロトタイプを開発した後、事業部で実開発に入る
2004年春 HDDカーナビ「サイバーナビ」でWindows Automotiveを初搭載した製品を発売。数々の斬新な新機能を打ち立てる
2005年秋 普及モデル「HDD楽ナビ」でWindows Automotiveを採用した新製品を発売。プラットフォームの統一化を図る
2006年春 フルモデルチェンジしたサイバーナビの新製品を発売。Windows Automotive搭載製品は9機種へ
表 パイオニアのWindows Automotive適用の流れ


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