放熱にも対応した構造用接着剤
駆動用バッテリーは、円筒形、角形、パウチ型など複数のセルで構成される。バッテリーのセルをより多く搭載してエネルギー密度を高めるセルtoパックやセルtoシャシーは部品点数が削減できる一方で、構造が脆弱(ぜいじゃく)になる。
そこで、ダウ・ケミカルはポリウレタン系のセル固定用接着剤を提供している。接着剤は冷却ユニットに熱を逃がす放熱材としても機能する。2液タイプの構造接着剤を提案。セルを固定するための高い機械強度と柔軟性、金属やプラスチックへの接着、低密度化による軽量化、難燃性などの特徴を持つという。
生産プロセスでのコストを削減する上では、スピーディーにむらなく塗工できることが求められる。耐火コーティングと同様に、組み立て工程で効率的な塗布を行うため、ノズルの幅や本数でも工夫を重ねる。
構造接着剤をはじめとする製品の採用拡大に向けて、CAEによる技術サポートも提供している。材料の流れ方や硬化などのシミュレーションの他、熱や構造、振動などの特性についても検証できる。デバイスやモジュールを対象にしたアプリケーションレベルの評価装置も日本の拠点で利用できる。
電子部品の放熱
写真左からダウ モビリティサイエンス、パフォーマンスシリコーン グローバル・シニアマーケティングディレクターのヨレイン・ベッロ氏と、カーバイス 創業者兼CEOのバラトゥンデ・コーラ氏[クリックで拡大]
パワー半導体など電子部品の熱マネジメントのニーズが高まっていることを受けて、カーボンナノチューブの技術を持つCarbice(カーバイス)と提携した。
カーバイスが得意とする垂直配列のカーボンナノチューブを放熱材に使用する。安定した熱抵抗で劣化しにくく長寿命である点や衝撃荷重の吸収など信頼性の高さ、貼り付けるパッド形状とすることによる扱いやすさなどが特徴だという。
カーバイスの冷却パッドはリサイクルされたアルミニウムと廃炭素ガスを使用する低温の循環生産プロセスで、持続可能性にも配慮しているという。また、カーボンとアルミニウムを使用することで保存期間や品質保証期間が長くなり、在庫の柔軟性や効率的な供給が可能になるとしている。耐用年数が経過した冷却パッドはアルミニウムの一般的なリサイクル工程で原材料に戻せるという。
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