レゾナックがシリコンバレーに研究開発拠点を開設、AI向け半導体の情報も収集:材料技術(2/2 ページ)
レゾナックは、東京都内で半導体戦略説明会を開き、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに半導体のパッケージングおよび材料の研究開発センターであるパッケージングソリューションセンターを開設することを発表した。
急成長する半導体市場の動向
半導体市場は短期的には需要の上下が激しいが中長期的な視点で成長が予測されている。富士キメラ総研の調査レポートによればグローバルの半導体市場の年平均成長率は2024〜2028年にかけて6%となり、半導体材料市場は2021〜2028年にかけて同8.5%と見込まれている。
さらに、DIGITIMES Reserchの調査結果では半導体市場が2023年には2021年比でほぼ倍増の1兆ドルになるとみられている。1兆ドルのうち60%以上をコンピューティングと通信向けの半導体が占め、自動車向け半導体市場の年平均成長率は今後10年で10%以上と見込まれている。
半導体市場の成長ドライバーとなるのは、生成されるデータ量の上昇や通信速度の高速化、計算能力の向上に貢献する高性能/高機能の次世代半導体だ。特にけん引役となるのはAI向け半導体だとみられている。ガートナーの調査結果によればAI向けの半導体市場は2022年に440億ドルに達し、2027年には1190億ドルに到達する見通しだ。なお、総務省の「情報通信白書 令和5年版」によれば生成AI市場は2022〜2030年にかけて年平均成長率+35.6%で拡大し、2030年に約14兆円に達すると予測されている。
加えて、OpenAI、Microsoft、Google、Amazonなどが生成AIサービスを続々と発表し、競争が激化しており、それに伴い差別化を図るために計算スピードが早く多くのAIパラメータ数を持つ高性能な生成AIが求められるようになっている。高性能AIを実現するためにAI向けの高スペックな半導体を開発する動きも盛んだ。例えば、生成AIサービスを提供するAmazon、Google、Apple、Meta、Microsoftから成るGAFAMは、半導体メーカーと協力し、生成AIのニーズに最適化した独自のチップを自社開発している。
この半導体市場に対して、レゾナックではシリコンチップの複雑化/微細化に貢献するさまざまな半導体後工程材料をラインアップしている点や2.XD/3D半導体パッケージなどの最先端プロセスに関する知見や技術を持つ点を強みに展開する。
また、会場では2023年11月23日から放映を開始するレゾナックのテレビCMとWebCMが紹介された他、CMに出演する俳優の滝藤賢一氏が登壇し同社の取り組みに対して思いなどを語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- レゾナックの射出発泡成形品が「レクサスRZ」外装樹脂部品に採用、30%以上の軽量化
レゾナックの独自技術を用いた射出発泡成形品が、トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」初の電気自動車(BEV)専用モデル「レクサスRZ」に採用された。 - レゾナックが営業赤字を改善するため、モビリティ向けの樹脂工場を統廃合
レゾナック・ホールディングスは、2023年12月期第2四半期(1月1日〜6月30日)の売上高が前年同期比6.1%減の6161億円で、営業損益は前年同期比511億円減の132億円の赤字になったと発表した。 - 昭和電工は第2の創業で「レゾナック」へ、半導体材料事業が成長をけん引
昭和電工が、昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)の統合によって2023年1月1日に発足する新会社「レゾナック」の半導体材料事業について説明。2021年度の統合前2社の業績ベースで、半導体材料事業の売上高は2665億円と世界トップクラスであり、中でも後工程材料については1853億円で圧倒的な世界No.1のポジションにあるという。 - 昭和電工が持ち株会社制移行で旧日立化成と事業統合、新社名は「レゾナック」に
昭和電工は、2023年1月をめどに、同社とグループ会社の昭和電工マテリアルズ(SDMC)を統合した持ち株会社制への移行について検討と準備を開始すると発表した。また、持ち株会社制移行後の新社名として、持ち株会社を「株式会社レゾナック・ホールディングス」、事業会社を「株式会社レゾナック」とすることも決めた。 - 伊藤忠商事とレゾナックが使用済みプラと繊維のリサイクルに向けた共同検討を開始
伊藤忠商事とレゾナックは、使用済みプラスチックと繊維の循環事業推進に向けた共同検討に関する覚書を締結した。レゾナック川崎事業所のプラスチックケミカルリサイクルプラントを活用し、資源循環の仕組みを構築する。 - レゾナックの出発は厳しい足元で、原材料価格高騰と販売数量減で営業利益は278億円減
レゾナックが2022年12月期通期業績を発表。売上高は前期比270億円減の1兆3926億円で、営業利益は、外部環境の変化でケミカルおよび半導体/電子材料のセグメントで減益し、前期比278億円減の590億円となった。