レゾナックが営業赤字を改善するため、モビリティ向けの樹脂工場を統廃合:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
レゾナック・ホールディングスは、2023年12月期第2四半期(1月1日〜6月30日)の売上高が前年同期比6.1%減の6161億円で、営業損益は前年同期比511億円減の132億円の赤字になったと発表した。
レゾナック・ホールディングスは2023年8月8日、オンラインで同年12月期第2四半期(1月1日〜6月30日)の決算説明会を開催した。
半導体の生産調製やデータセンターの需要低迷などで減収減益に
2023年12月期第2四半期の売上高は前年同期比6.1%減の6161億円で、営業損益は前年同期比511億円減の132億円の赤字となった(前年同期は380億円の黒字)。レゾナック・ホールディングス 取締役 常務執行役員 CFOの染宮秀樹氏は「売上高に関しては、2022年に石油化学工場の定期修繕があったケミカル事業は増収したが、メーカーによる半導体の生産調整やデータセンターの需要低迷により半導体/電子材料事業が減収した影響を受け、減収となった。営業利益に関しては、半導体/電子材料事業の減収やケミカル事業の受払差のマイナス影響が減益の主要因となった。しかしながら、2023年5月に発表した予想値からは半導体後工程材料市場の回復を背景に68億円改善した」と話す。
セグメント別では、半導体/電子材料事業は、2022年後半からの需要低迷が継続し、大幅な減収となった。特にハードディスク(HD)メディアの棚卸資産で、低価法による簿価切り下げや廃棄損を計上したこともあり、営業赤字に至った。
半導体前工程材料では、2023年12月期第2四半期から半導体前工程の生産調整の影響が生じ、電子材料用高純度ガス、CMPスラリーともに減収となった。半導体後工程材料では、半導体後工程の生産調整の影響が継続し、主要製品全てで減収。デバイスソリューションではHDメディアでデータセンター向け需要の低迷が継続し、大幅減収となった。一方、SiC(シリコンカーバイド)エピタキシャルウェハーは出荷数量増で増収した。これらの要因により売上高は前年同期比30%減の1534億円で、営業損益は131億円の赤字となった。
染宮氏は「CMPスラリーやエッチングガラスといった半導体前工程材料については売上高と損益を見る限り、2023年4〜6月が(販売数量の)底だと考えている。半導体後工程材料では同年1〜3月期が(販売数量の)底で、4〜6月から着実に販売数量が回復してきている。そのため、同年下期に半導体材料の売り上げが大きく増えると見込んでいる。HDメディアについては、1〜3月よりも4〜6月は、販売数量が若干伸長したが、2022年と比べると6〜7割の数量減なので、固定費を回収できず、2023年下期も赤字になる見通しだ」と語った。
モビリティ事業では、自動車部品が新規車種向け製品の販売や北米地域における自動車生産の回復により、樹脂成形品、摩擦材、粉末冶金製品でそれぞれ増収した。しかし、リチウムイオン電池材料は、正負極用導電助剤、カーボン負極材は増収となったものの、民生需要の低迷により、アルミラミネートフィルム(SPALF)が減収した。これらの要因により売上高は前年同期比1%減の856億円となり、営業損益は前年同期から1億円改善して8億円の赤字となった。
イノベーション材料事業では、原材料価格高騰に伴う値上げにより製品販売価格は上昇したが、数量減により減収減益だった。売上高は前年同期比12%減の619億円で、営業利益は22%減の43億円となった。
ケミカル事業では、石油化学は2022年に4年に一度の定修による工場の停止があったため大幅な増収となるも、受払差のマイナス影響により減益となった。化学品は、原燃料コスト上昇に対応した価格転嫁が進み増収増益。黒鉛電極は、対前年比で出荷数量は減ったものの、原価上昇にキャッチアップした値上げにより増収したが、受払差のマイナス影響により減益だった。これらの要因により、売上高は前年同期比14%増の2549億円で、営業利益は同64%減の48億円となった。
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