昭和電工は第2の創業で「レゾナック」へ、半導体材料事業が成長をけん引:材料技術(1/2 ページ)
昭和電工が、昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)の統合によって2023年1月1日に発足する新会社「レゾナック」の半導体材料事業について説明。2021年度の統合前2社の業績ベースで、半導体材料事業の売上高は2665億円と世界トップクラスであり、中でも後工程材料については1853億円で圧倒的な世界No.1のポジションにあるという。
昭和電工は2022年11月1日、東京都内でメディアラウンドテーブルを開き、同社と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)の統合によって2023年1月1日に発足する新会社「レゾナック(Resonac)」の半導体材料事業について説明した。2021年度の統合前2社の業績ベースで、半導体材料事業の売上高は2665億円と世界トップクラスであり、中でも後工程材料については1853億円で圧倒的な世界No.1のポジションにあるという。
レゾナックの全体で見ても売上高が1兆4000億円規模となり、昭和電工単体の7694億円からほぼ倍増し国内化学業界でトップクラスの規模となる(いずれの数字も2021年度業績に基づく)。昭和電工 取締役 常務執行役員 最高戦略責任者(CSO)の真岡朋光氏は「これで世界で戦える事業規模を得ることができた。2社を統合して生まれるレゾナックの発足は第2の創業になると考えている」と語る。
昭和電工が日立化成の買収を完了したのが2020年4月。そこから、コロナ禍を経て半導体不足が起こり、米中摩擦の悪化やロシアによるウクライナ侵攻など、社会情勢は大きく変化した。「半導体不足をきっかけに、半導体が経済安全保障の要であることが強く認識され、最先端の半導体製造拠点がアジア地域に遍在することが課題として共有された。そして、米国、欧州、日本、韓国、台湾が国費を投じて半導体生産基盤の囲い込みを進めるなど、半導体ビジネスは風雲急を告げている」(真岡氏)。
日本の半導体産業は1980年代後半の世界シェア50%以上をピークに右肩下がりとなっており、現在は1割程度にとどまっている。現在も、最先端の半導体工場への投資が行われておらず、今後もシェア低下は避けられない状況にある。その一方で、半導体製造装置や半導体材料では日本企業が世界で圧倒的な存在感を放ち続けている。例えば、回路形成済みのシリコンウエハーからダイを切り出す後工程装置のダイシングソーの日本企業のシェアは87%に達する。レゾナックが手掛ける半導体材料でも、日本企業のシェアはエッチングガスが73%、封止材が77%、パッケージ基板用銅張積層板が75%となっている。
半導体材料は今後の市場成長でも期待が大きい。レゾナックが手掛ける半導体材料を例にとると、前工程であればエッチングやCVD(化学気相成長)などに用いられる高純度ガス、成膜し回路を形成した層の表面を平たんにするCMPスラリー、後工程であれば封止材、パッケージ基板用銅張積層板、感光性フィルムの2026年の市場規模は、2021年比で15〜34%の増加が見込まれている。
また、昭和電工がインフィニオン テクノロジーズやローム、東芝デバイス&ストレージなどと長期供給契約を結んでいるSiCエピウエハーに至っては、2026年の市場規模が2021年比で約3倍になる。真岡氏は「自動車業界のEV(電気自動車)シフトが急速に進む中で、パワー半導体をSi-IGBTからSiC-MOSFETに置き換えたいというニーズも高まっている。顧客の要望に応えられるように設備増強を進めることがSiCエピウエハーの喫緊の課題だ」と説明する。
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