レゾナックがシリコンバレーに研究開発拠点を開設、AI向け半導体の情報も収集:材料技術(1/2 ページ)
レゾナックは、東京都内で半導体戦略説明会を開き、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに半導体のパッケージングおよび材料の研究開発センターであるパッケージングソリューションセンターを開設することを発表した。
レゾナックは2023年11月22日、東京都内で半導体戦略説明会を開き、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに半導体のパッケージングおよび材料の研究開発センターであるパッケージングソリューションセンター(PSC)を開設することを発表した。
併せて、米国テキサス州にある半導体コンソーシアム「Texas Institute for Electronics(以下、TIE)」に、日本メーカーおよび材料メーカーで初めて戦略パートナーとして参画することも公表した。
シリコンバレーでPSC開設の要因にコロナ禍
現在、同社は、半導体業界をけん引するIntelやNVIDIAなどの大手半導体コンセプトリーダーが集うシリコンバレーに半導体の先端パッケージ材料技術の研究を行うPSCを新設する準備を進めている。シリコンバレーのPSCは、先端パッケージ技術を持つコンセプトリーダーや材料メーカーとの共創、コンセプト検証、グローバルで活躍できる人材育成の場とする。
現状は調査検討、準備を進めている段階。2024年にクリーンルームと装置を導入し、試験運用を開始した後、2025年にフルスケールで操業をスタートする見込みだ。操業後は、AI(人工知能)向けの半導体をはじめとした最先端半導体のパッケージング技術の最新コンセプト、トレンドをリアルタイムに捉え、材料開発に反映させていく。
今回のPSCは新川崎(川崎市幸区)のPSCに続く研究開発拠点となる。新川崎のPSCは、300mmのウエハーと500mm角のガラス基板に対応するレーザーダイシングや微細配線形成が可能な最新鋭の設備などを備え、複数のダイを1個のパッケージに集積する2.XD/3D半導体パッケージなどの最先端プロセス/材料に関する試作/評価を一貫して行える拠点として、海外の半導体メーカーからも関心を集めている。2023年は上半期までに150社の海外企業から訪問があった。こうした活動をより広げていくために、シリコンバレーでPSCの開設を決めた。
レゾナック 最高戦略責任者(CSO)の真岡朋光氏は「コロナ禍の前は技術力がある米国の半導体メーカーなどから引き合いがあり、新川崎のPSCにも(担当者に)足しげく通ってもらい、対面で共創に関する話し合いを行っていた。しかし、コロナ禍以降は良くも悪くもオンラインミーティングが普及し、よっぽどのことがない限り、米国の半導体メーカーなど(の担当者)が新川崎のPSCに訪れることがなくなった。当社としては米国のユーザー企業と対面で話し合いを行いたい気持ちがあった。さらに、シリコンバレーでAI向けの最先端パッケージング技術の要件定義が加速しており、その情報を把握するためにも同地域でPSCを開設したいという意欲が増した」と話す。
一方、TIEは米国テキサス大学オースティン校が主導する非営利団体で、テキサス州や半導体/防衛エレクロニクス企業、国立研究所、学術機関の官民で構成され、半導体の最先端技術のロードマップを5年早め、米国で最先端の技術を生み出すことを目的としている。2024年後半から2.XD/3D半導体パッケージの試作ラインを立ち上げることを計画している。同団体からの参画要請を受けレゾナックは加わった。
なお、「先端構造の半導体に使用する前工程から後工程までの材料をそろえていること」「半導体のパッケージに特化して研究開発を行うPSCを所有していることやその知見」「半導体関連企業で構成されたコンソーシアム『JOINT2』の運営実績」などの評価が参画要請につながったとする。
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