レゾナックの射出発泡成形品が「レクサスRZ」外装樹脂部品に採用、30%以上の軽量化:材料技術
レゾナックの独自技術を用いた射出発泡成形品が、トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」初の電気自動車(BEV)専用モデル「レクサスRZ」に採用された。
レゾナック・ホールディングスは2023年4月26日、事業会社であるレゾナックの独自技術を用いた射出発泡成形品が、トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」初の電気自動車(BEV)専用モデル「レクサスRZ」に採用されたと発表した。
同社の射出発泡成形品は、バックドアに取り付ける樹脂部品であるバックドアガーニッシュやホイールアーチモールディング、ドアモールディングに採用されており、従来の樹脂部品と比較し30%以上の軽量化を実現している。
従来の射出発泡成形技術は、外観や耐久性などで自動車部品としての要求性能に課題があったが、同社は、材料、成形、金型の技術を最適化することにより、2016年に世界で初めて外装部品に今回の独自技術を量産レベルで適用した。
また、当初は、成形材料の種類がPP(ポリプロピレン)だけだったが、剛性、表面硬度、低温衝撃性などに優れるABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)樹脂にも同技術を適用することに成功し、より多くの部位で同技術を用いた軽量化が行えるようになった。
レゾナック独自技術を用いた射出発泡成形品導入の背景
近年、自動車業界では、環境問題へ対応するため、燃費向上によるCO2排出量の低減が求められており、その手段の1つとして、車両軽量化の取り組みが必要となっている。特に、BEVでは、大型バッテリーを搭載するため、ガソリン車に比べて車体重量が重く、車両に搭載される部品の軽量化は強く求められている。
一方、外装部品では、樹脂部品の採用が増えているが、こういった樹脂部品でもさらなる軽量化の要望が増加している他、樹脂部品では、剛性の観点から樹脂素材を薄くすること(薄肉化)の限界を迎えている。解決策として、剛性を維持したまま軽量化でき、かつ材料使用量削減によりCO2排出量の低減が可能な射出発泡成形技術が注目されている。
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