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10月からのジャパンモビリティショーに向けて楽しみなこと自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)

暑い日が続いていますが、体調を崩されていませんか。10月の下旬には東京モーターショー改め「ジャパンモビリティショー」も開幕しますが、秋らしくなるのでしょうか。

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 これからのクルマのことを考えるのは楽しいですが、足元には先行きが気になる話題もあります。中国の新車市場です。

 2024年3月期第1四半期(2023年4〜6月期)の決算発表に合わせて、日産自動車は中国での生産、販売台数がともに大幅に減少していることに触れました。需要全体の内訳を見ると、現地ブランドの新エネルギー車(NEV)の販売が好調で、外資系自動車メーカーの合弁会社が販売するNEV以外のモデルがシェアを落としているのが背景にあると説明しています。

 トヨタ自動車は中国事業の販売台数こそ微増ですが、毎月発表される生産台数は好調とは言えません。広汽トヨタの従業員の5%に当たる1000人について、満了前に契約を終了したと報じられています。自動車メーカー各社と取引するデンソーも、中国で外資系自動車メーカーの合弁会社のシェアが奪われていることで計画から下振れするリスクがあると指摘しています。

 トヨタ自動車も日産自動車も、中国市場での競争力を高めるべく現地開発を強化する方針です。魅力的な商品をタイムリーに投入することはもちろん重要ですが、全ての人が商品の機能や性能、価格だけを見てクルマを買うわけではありません。そうした要素をにらみつつ、ひいきのブランドであることで背中を押されることもあるでしょう。これは中国に限らない普遍的な消費者心理ではないかと思います。

 そんなことを考えたのはSUBARU(スバル)の決算会見がきっかけです。ユーザーの人生に寄り添うクルマをつくり、それがユーザーの思い出とともにあることで、米国ではユーザーの心の中に「ラブ(愛)」が生まれているそうです。愛をもっと広げようという趣旨で、販売店が地元のチャリティーに参加するなど地域貢献活動「ラブ プロミス」が全米に広がっているとのこと。前回の2019年の東京モーターショーでトヨタ自動車に聞いた「愛車」に対する考えも似たところがありました。

 目新しい機能がたくさんついていることを評価してクルマを購入する人や、購入補助など優遇措置を重視する人がいる一方で、そのブランドに対する好意が最終的な決め手になることもあります。商品力を高めるだけでなく、好意を勝ち取る活動も並行して進めておくことは長い目で見れば成果につながりそうです。

 「やっぱり自国のブランドがいい」「ずっと乗ってきたこの外資ブランドがいい」「好きなブランドはその時によって変わる」など、好意(場合によってはラブ)がどこに向くかは分かりませんし、それが行動につながるまでは時間がかかります。どうやって愛されていくかというところも、ジャパンモビリティショーで垣間見えるといいなあ、と思っています。

→過去の「自動車業界の1週間を振り返る」はこちら

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