ランクル250シリーズが世界初公開、電動パワステやハイブリッド採用:電動化
トヨタ自動車は「ランドクルーザー250シリーズ」を世界初公開した。日本では2024年前半の発売を予定している。
トヨタ自動車は2023年8月2日、「ランドクルーザー250シリーズ」を世界初公開した。日本では2024年前半の発売を予定している。また、2023年秋にはヘビーデューティーモデルの「ランドクルーザー70」を日本に再導入する。
250シリーズが該当するライトデューティー系の市場は高級で豪華な路線にシフトする傾向にあった。当時のトヨタ自動車 社長の豊田章男氏が「ランドクルーザーは生活や地域社会を支えるためのクルマであるべきだ。より多くの人の生活を支えるライトデューティーモデルはユーザーが求める本来の姿に戻す必要がある」と指摘したことから、ランドクルーザーの原点に回帰する開発コンセプトに決まった。
250シリーズは、ランドクルーザーのフラグシップである300シリーズと同じ「GA-Fプラットフォーム」を採用して、300シリーズと同レベルの悪路走破性を持たせるなどオフローダーとしての基本性能を大幅に引き上げた。従来モデルと比べて大幅に剛性を強化しており、フレーム剛性は50%、車両全体の剛性は30%向上させている。サスペンションは、悪路走破性の指標となるホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)を改善した。
オンロード、オフロード問わず運転しやすいよう、快適性も向上させたとしている。ランドクルーザー初となる電動パワーステアリングを採用した。悪路走行時にハンドルが取られるのを低減し、低速時の取り回し性を向上させている。運転支援機能の1つであるレーントレーシングアシストも実現した。SDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism)もトヨタブランドでは初採用となる。スイッチ操作でフロントスタビライザーの状態を切り替えることができ、オフロードの悪路走破性や乗り心地と、オンロードでの操縦安定性を両立する。
機能性を追求したパッケージに、伝統やモダンさを融合した内外装デザインを組み合わせている。車両サイズは全長4925mm(従来モデル比+100mm)×全幅1980mm(同+95mm)×全高1870mm(同+20mm)で、 ホイールベースは2850mm(同+60mm)となる。ランドクルーザー伝統のホイールベース値とし、悪路走破性を向上させるが、ミラー全幅は従来モデル以下とし、取り回し性を確保した。
壊れにくく、壊れても修理しやすい設計を各所に取り入れた。より個性を楽しめるカスタマイズへの対応にも配慮した。
パワートレインは地域ごとにさまざまなラインアップを展開する。ランドクルーザー初となるハイブリッドモデルも登場する。耐久性を犠牲にすることなく、燃費とパフォーマンスを向上させたとしている。ハイブリッドモデルは、排気量2.4l(リットル)のガソリンターボエンジンとダイレクトシフト8ATの間にモーターと湿式クラッチを組み合わせたパラレルハイブリッドシステムを搭載する。最高出力243kW、最大トルク630Nmで、オフロードだけでなく発進から登坂、トーイング時まで全域でワンランク上の加速性能と環境性能を両立するという。北米や中国に展開する。
豪州や西欧には、排気量2.8lのディーゼルターボエンジンにダイレクトシフト8AT、48Vシステムを組み合わせたモデルを投入する。停止や発進の多い市街地や渋滞時の実用燃費を改善するとともに、レスポンスよく静かなエンジン始動、スムーズな走り出しを実現する。
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