ホンダは2023年4月26日、東京都内で説明会を開き、電動化など企業変革の取り組みの最新状況を発表した。
5つの注力分野
ホンダは事業体質の強化を行うとともに、モビリティを進化させるため以下の5つのキーファクターを設定している。新たな価値の創造に向けて、これらのキーファクターに関連するカーボンニュートラル技術などの基礎研究に年間1000億円レベルの予算を安定的に確保する。
- パワーユニットのカーボンニュートラル化
- パワーユニットをエネルギー源として活用するための
エネルギーマネジメントシステム - リソースサーキュレーション
- 自動運転、ADAS(先進運転支援システム)
- IoT(モノのインターネット)、コネクテッド
また、新たな価値をよりスピーディーに展開していくため、年間100億円レベルの出資枠を用意してスタートアップとのオープンイノベーションを積極的に行う。これまでにも、AI(人工知能)や合成燃料、電池のリサイクル、核融合発電など、将来的に必要とされると期待できる領域を手掛けるスタートアップに出資してきた。オープンイノベーション活動のグローバル本社機能として、日本に新会社「ホンダ・イノベーションズ」を2023年4月に設立した。
四輪事業では、「ホンダアーキテクチャ」や一括企画の導入、グローバルモデルの派生数削減、生産能力の適性化などを実行して収益体質を改善してきた。これにより2022年度の固定費は2018年度比で10%以上削減した。また、生産能力を基準とした損益分岐点は、2018年度の90%から2022年度には80%に改善した。さらに、強固な収益体質を確立している二輪事業の貢献もあり、厳しい事業環境においても十分な水準のフリーキャッシュフローを確保できているという。
二輪車と四輪車の電動化
電動化向けて、二輪事業では2025年までにグローバルで電動二輪車を合計10モデル以上投入する計画を既に発表している。2030年には販売の15%にあたる年間350万台レベルの電動二輪車の販売を目指している。2023年は交換式バッテリー「Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」を搭載した「EM1 e:(イーエムワン イー)」を日本と欧州、インドネシアで発売する予定だ。交換式バッテリー以外の選択肢も検討していくという。
四輪車に関しては、2040年までに新車販売をグローバルでEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)のみにすること、2030年までにグローバルで年間200万台のEVを生産することが既に発表されている。
北米では、2024年にGM(General Motors)とのEV共同開発モデルである「PROLOGUE(プロローグ)」をホンダブランドから、「ZDX」をアキュラブランドから発売する。2025年にはホンダ独自のEV専用プラットフォームをベースに新たなE/E(電気/電子)アーキテクチャを採用した中大型EVを投入する。
2023年の第20回上海国際自動車工業展覧会(上海モーターショー)では、中国で販売をゼロエミッション車のみにする時期を2040年から2035年に前倒しすることを発表した。EVとFCVではなく、EVのみとする。これに向けて、2024年初めに「e:NS2」「e:NP2」を発売する他、コンセプトモデル「e:N SUV 序」をベースとした量産モデルを2024年中に投入する。この3モデルを含めて2027年までに10車種のEVを展開していく。
日本は2024年前半に「N-VAN」ベースの軽商用EVを発売する。2025年に「N-ONE」ベースのEV、2026年にはSUVタイプを含む小型EV2車種を発売することも明らかにした。
EVの商品ラインアップの拡充に合わせて、充電サービスも展開する。家庭用充電では、北米で展開しているEV向け充電サービス「 Smart Charge」をベースとし、EVの電力供給能力を活用したエネルギー事業を順次展開する予定だ。公共充電については、利便性や信頼性の高い充電ネットワークと連携して充電サービスの利用環境を整える。
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