三菱自動車は2023年3月10日、2025年度までの3カ年の中期経営計画「Challenge 2025」を発表した。2022年度までの現中計では2年間で20%以上の固定費削減を1年で達成した他、営業利益と営業利益率を大きく改善した。新中計ではその経営体質を基に、地域ごとの選択と集中を継続しながら安定的な収益基盤を確立する。
新中計は最終年度に台当たり売上高を250万円、小売販売台数110万台を目指す。営業利益は2200億円(営業利益率7%)で、研究開発費は1500億円、設備投資は1300億円を計画している。研究開発費のうち700億円が電動化関連だ。また、設備投資のうち550億円が電動化向け、150億円がITや新事業向けと見込む。
2023〜2028年の研究開発費は2017〜2022年比で30%増、設備投資も同30%増となる。研究開発費、設備投資ともに電動化向けの比率が拡大する。これまで以上に研究開発費と設備投資を安定的に投じ、電動化やIT、新事業への支出割合を投資の7割に増やす。
ASEANとオセアニアがけん引役
地域戦略では、従来の選択と集中をさらに加速し、各地域の役割を明確化した上で経営資源を配分する。事業面では、バリューチェーン拡大を図るとともに、将来の新たな収益源となる新事業に挑戦する。
また、三菱自動車らしい商品や技術を通じてユーザーとの長期的な信頼関係を構築し、ブランド価値をアピールする。三菱自動車らしい技術とは、EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)をコアとする電動化技術、さまざまな路面や環境で培った設計思想による耐久性や信頼性、四輪制御技術(S-AWC)、車内空間の快適性技術の4つだ。
グローバルでは今後5年間で全16車種を投入する。このうち9車種がEVやHEV(ハイブリッド車)となる。成長ドライバー地域であるASEANやオセアニア、レバレッジ地域と位置付ける中南米や中東、アフリカにも、EVやHEV7車種を投入する。さらに、2026〜2028年度の“電動車強化第2フェーズ”に向けて電動車開発とアライアンスとの協力を強化していく。
生産や購買も含めたCO2排出削減も強化する。事業活動によるCO2排出量は、2030年度に2018年度比半減が目標だ。Tank to Wheelの新車平均CO2排出量は、2030年度に2010年度比40%削減を目指す。電動車の販売比率は2030年度に50%、2035年度に100%とする。2030年までに総額2100億円を投じ、アライアンスや戦略パートナーの協力も活用して15GWhの電池を調達。電動車比率50%に備える。
収益基盤の安定と強化に向けて、成長ドライバー地域であるASEANとオセアニアに経営資源を集中させ、台数やシェア、収益を拡大する。ASEANでは新商品を連続して投入し、各国市場に適した電動車の生産や商品導入を推進する。オセアニアでは大都市でアウトランダーPHEVの販売を強化する。
また、ASEAN向けの商品を活用して、レバレッジ地域と位置付ける中南米や中東、アフリカでの収益力も高める。販売ネットワークを強化するとともに、PHEVで電動車のアーリーアダプターを獲得する。先進技術推進地域と位置付ける日米欧中では、アライアンスや協業パートナーを通じて先進技術の進化と強化を推進する。電動車のラインアップを充実させる他、販売でのデジタルツール活用に力を入れる。
デジタル化や新事業では、自治体や日本郵政グループとの協業で、EVやPHEV、蓄電池を使ったエネルギーマネジメントの他、使用済みバッテリーのリユースによる自律型街路灯の実証と設置拡大を進める。データビジネスに関しては、保険会社へのデータ提供によるマネタイズや、車両の走行データを活用した新サービスなどに取り組む。
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