E/EアーキテクチャやビークルOS
北米での2025年の採用に向けてE/Eアーキテクチャを進化させるとともに、ホンダ独自のビークルOSも開発する。ビークルOSを基盤に車載ソフトウェアを常に進化させ、販売後も機能やサービスを充実させる。
ビークルOSだけでなく、自動運転やADAS、コネクテッドも含めたソフトウェアの独自開発を強化するため、採用人数を倍増させるとともに、高度なソフトウェア開発に対応できる人材の採用に注力する。KPITテクノロジーズをはじめとするソフトウェア開発に強みを持つパートナーとの提携も加速させる。
なお、ユーザーエクスペリエンス(UX)やデジタルサービスの領域には「グローバルUXオフィサー」を新たに設置する。デジタルエキスパートを積極的に採用することで、北米を中心に開発を強化していく。
EVの生産体制とカーボンニュートラルな工場
今後の本格的なEV生産に向けて、米国オハイオ州内の3つの既存工場は北米におけるEV生産のハブ拠点として活用する。四輪車を生産するメアリズビル工場とイーストリバティ工場、四輪車用パワートレインを生産するアンナ・エンジン工場に、高効率で柔軟な生産ラインを構築する。
埼玉製作所 完成車工場では、CO2削減技術や再生可能エネルギーを活用し、2025年度にホンダ初となるカーボンニュートラル工場を実現する。
2020年代後半に発売予定のEV向けに、グローバルで生産システムの改革も進める。将来の労働力を考慮して自動化と知能化を追求した生産ラインを構築する他、短期間でEVシフトが可能な効率の高い工場とサプライチェーンを実現する。また、CO2排出を極限まで抑え、リソースサーキュレーションを前提とした生産プロセスへの転換も図る。
電池や資源、半導体の調達
当面の電池調達では、地域ごとに外部とのパートナーシップを活用して必要量を安定的に確保するめどが立ちつつあるという。北米では、GMや2023年に設立するLGエナジーソリューションとの生産合弁会社から仕入れる。中国ではCATLとの連携を強化し、日本では軽商用EV向けをエンビジョンAESCから調達する。
2020年代後半以降に向けては、GSユアサとの共同出資会社で高容量かつ高出力な液系リチウムイオン電池を開発する。全固体電池は、2024年に社内に実証ラインを立ち上げ、2020年代後半の採用を目指す。リチウム金属二次電池は、米国の研究開発会社SESに出資して共同開発している。
資源調達でもパートナーシップを活用する。阪和興業とはニッケルやコバルト、リチウムなどのレアメタルの中長期的な安定調達に向けて協力していく。資源リサイクルを手掛ける企業とも連携する。アセンド・エレメンツ、サーバ・ソリューションズとの協業、POSCOホールディングスとの包括的パートナーシップなどを通じて、積極的にリサイクル資源を活用。材料調達を安定化させるとともに、環境負荷を低減するリソースサーキュレーションの実現を目指す。
半導体不足については、短期と中長期の対策を実施している。短期的には、取引先との関係を強化するとともに部品のデュアルソース化や代替品の開発を進めている。中長期的には、リスクセンシングを強化するとともに、TSMCとの戦略的協業など半導体メーカーとの協力関係を構築して連携を強化する。これにより、半導体の安定調達を目指す。
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