「商用車でトヨタが日野を支えるのは困難」、三菱ふそうと経営統合:電動化(1/2 ページ)
ダイムラートラックと三菱ふそうトラック・バス、トヨタ自動車と日野自動車の4社は三菱ふそうトラック・バスと日野自動車の経営統合に関する基本合意書を締結した。
ダイムラートラックと三菱ふそうトラック・バス、トヨタ自動車と日野自動車の4社は2023年5月30日、会見を開き、三菱ふそうトラック・バスと日野自動車の経営統合に関する基本合意書を締結したと発表した。2024年3月に最終契約を締結し、同年12月末までに経営統合を実施する。
経営統合はダイムラートラックから数カ月前に、トヨタ自動車へ打診した。三菱ふそうトラック・バスと日野自動車は、今後新設される持ち株会社の完全子会社となることで経営統合する。持ち株会社はダイムラートラックとトヨタ自動車が株式を同割合で保有し、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場する予定だ。ダイムラートラックとトヨタ自動車以外からの出資も受け入れる。経営統合後、トヨタ自動車は日野自動車の親会社ではなくなる。
商用車はカーボンニュートラルや物流の効率化などさまざまな課題に直面している。解決には大規模な投資が必要で、商用車メーカー各社が単独で対応していくのは難しい。三菱ふそうトラック・バスと日野自動車は対等に統合し、開発や調達、生産で協業する。両社のブランドは維持する。事業効率を高め、グローバルな競争力を持った商用車メーカーを目指す。また、ダイムラートラックとトヨタ自動車は水素を含むいわゆるCASE領域の技術開発に協力し、競争力を支える。
商用車連合のCJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)には、トヨタ自動車と日野自動車に加えて、いすゞ自動車も参加している。CJPTの枠組みは「規格面での意思統一や大きな流れを作っていく上で生かし、積極的な活動を続けていく。関係する各社のプロジェクトベースで連携を取りながら、具体化を加速させる。CASEの技術は規格から量産の規模、インフラ整備など多面的な取り組みが必要だ」(トヨタ自動車 社長の佐藤恒治氏)としている。また、三菱ふそうトラック・バスのCJPT参加については、まだ結論が出てないという。
日本だけでなく東南アジアでもシナジー創出
世界市場でみると、中大型の商用車の台数規模は300万〜350万台。日野自動車で25万台、三菱ふそうトラック・バスで15万台、合計40万台のスケールメリットになる。国内では、いすゞ自動車やUDトラックスと同等のシェアになるとしている。
三菱ふそうトラック・バス 社長のカール・デッペン氏は「純粋な商用車メーカーだからこそ、同じ問題に直面していて一緒に取り組む余地があると思い、議論を進めてきた。東南アジアも含めて市場では補完的な関係ができる。(日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは)東南アジアではよいポジションを作っている。地域でのブランド、販売やサービスのネットワークもそれぞれ強いものを持っており、東南アジアのカーボンニュートラルに大きく貢献できると考えている」と述べた。
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