日野自動車は2023年4月26日、フォルクスワーゲングループのTRATON(旧Volkswagen Truck & Bus)との提携を解消すると発表した。提携で締結した合意書に基づく協業も解消もしくは終了する。
提携解消の理由について、日野自動車とTRATONは「それぞれが現在抱える経営課題への対応を優先させるため」と説明している。資本参加のない業務提携だった。
提携によって、2019年に合弁で設立した調達会社を通じた調達基盤の強化、海外のカーボンニュートラル動向に関する情報収集、協業の検討に伴う社内の議論での気付きや学びなどの成果があったと日野自動車は述べている。TRATON側は、調達合弁会社による新規サプライヤーの開拓や調達の改善、ハイブリッド車(HEV)の相互ベンチマーク活動によるデータ収集などを成果に挙げた。
日欧の協力から日本の商用車連合へ
日野自動車と旧Volkswagen Truck & Busが協業を発表したのは2018年4月だ。両社が協業に至ったのは、商用車を使う物流や旅客輸送が直面する課題を解決する上で、乗用車がメインビジネスの親会社の下では難しいという判断が背景にあった。それぞれ主力市場が異なる他、TRATONは大型車に、日野自動車は中小型車に強みを持つことから補完的なパートナー関係になると見込んでいた。
提携は、物流や旅客輸送に関わるソリューション調査、技術開発、調達の領域で相互補完的な協力を検討する予定でスタートした。技術開発では、ディーゼルエンジン、ハイブリッドシステム、電動化、コネクティビティ、自動運転技術といった既存の分野から新技術まで広く協力しようとしていた。
その一方で、日本では2021年3月にいすゞ自動車と日野自動車、トヨタ自動車の3社で商用車のCASE対応で協業するための新会社CJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)が発足した。「日野といすゞが一緒にやれば日本の商用車の『8割』のユーザーに向き合うことができる」という協力の意図がある。
その後、スズキやダイハツ工業もCJPTに参加し、軽から大型までの商用車の電動化や、物流の改善などに取り組んでいる。大型商用車向け水素エンジンの基礎研究も始まった。また、CJPTはタイに新会社を設立して、アジアのカーボンニュートラルも推進する計画だ。日野自動車のエンジン認証不正を受けて同社はCJPTからは除名されていたが、CJPTのタイ新会社での活動には参加する。
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