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新車生産は日米が好調、中国は低水準の前年同月をさらに下回る自動車メーカー生産動向(1/3 ページ)

2023年5月の自動車生産は、前年に中国・上海で実施されたロックダウンの反動や、半導体の供給改善などにより回復基調が続いている。

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 2023年5月の自動車生産は、前年に中国・上海で実施されたロックダウンの反動や、半導体の供給改善などにより回復基調が続いている。日系乗用車メーカー8社の世界生産台数は全社が前年実績を上回り、8社合計でも4カ月連続で増加した。特に国内生産の回復が鮮明で、海外も北米などが高い伸びを見せた。一方で、中国はロックダウンで低水準の前年実績をさらに割り込むなど、中国市場における日系メーカーの不調ぶりを改めて示す結果となった。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

2023年5月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 248,287 598,713 191,053 141,748 847,000
72.2 22.0 25.1 ▲ 3.4 33.4
ホンダ 44,510 284,556 136,673 99,842 329,066
19.4 37.4 65.6 25.4 34.7
日産 53,393 221,158 110,283 54,055 274,551
99.2 7.9 48.4 ▲ 27.2 18.5
スズキ 65,332 206,700 - - 272,032
10.1 7.8 - - 8.3
ダイハツ 46,642 69,044 - - 115,686
61.4 58.7 - - 59.8
マツダ 51,040 30,577 19,212 5,358 81,617
47.3 29.1 119.4 ▲ 44.3 39.9
スバル 49,790 30,564 30,564 - 80,354
24.1 26.5 26.5 - 25.0
三菱自 31,538 43,401 - 0 74,939
25.4 9.7 - - 15.8
合計 590,532 1,484,713 487,785 301,003 2,075,245
49.0 21.2 42.4 ▲ 5.0 28.0
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

 8社合計の世界生産は、前年同月比28.0%増の207万5245台と大幅な伸びを見せた。コロナ禍以降では初の200万台超えまで回復したが、2019年5月との比較では13.4%減という実績だった。中でも国内生産は、同49.0%増の59万532台と1.5倍の大幅増となり、5カ月連続のプラス。8社全てが2桁パーセント増となった。

 これは半導体の供給改善に加えて、前年がロックダウンにより中国からの部品供給が滞り生産調整を実施していた反動増が表れた格好だ。ただ、2019年との比較では21.6%減であり、本格回復には程遠い状況ともいえる。実際に国内販売では、新型車など人気車種は受注停止や1年を超える長納期が常態化している。

 海外生産も回復基調が続いており、前年同月比21.2%増の148万4713台と4カ月連続のプラス。2019年比では9.6%減だった。国内生産と同様の傾向だったのが北米で、北米で生産する5社合計は前年同月比42.4%増と伸長した。一方、低迷したのが中国だ。中国で生産する5社合計は、前年のロックダウンの反動があったにもかかわらず、同5.0%減と前年割れ。2カ月ぶりのマイナスだった。

 これは、2022年末に終了した自動車向け減税措置の反動もあるが、中国市場で急速に進む電気自動車(EV)シフトに対して、日系メーカー各社がEVのラインアップなど需要に対応できていないことが大きな要因となっている。日系メーカーの中国販売はガソリン車やハイブリッド車(HEV)が中心のため販売低迷が深刻化しており、これを受けて現地での生産調整を余儀なくされている状況だ。

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタ自動車の5月のグローバル生産台数は、前年同月比33.4%増の84万7000台と5カ月連続で前年実績を上回り、5月の世界生産として過去最高を更新した。このうち海外生産が、同22.0%増の59万8713台と2カ月連続のプラスで、5月の海外生産として過去最高となった。

 地域別では、北米は同25.1%増と2カ月連続の増加。前年の半導体不足の反動増が表れた。欧州も同20.0%増と伸長。アジアも同17.9%増と2カ月連続のプラス。インドネシアが同107.9%増、タイが同20.5%増、フィリピンが同16.5%増、マレーシアが同25.4%増、台湾が同65.8%増、インドが同7倍と主要拠点が軒並み2桁パーセント増を記録した。ただ、中国は新たな排出ガス規制「国6b」への対応などにより生産調整を実施した結果、同3.4%減と2カ月ぶりに前年割れとなった。

 海外以上に回復したのが国内生産で、前年同月比72.2%増の24万8287台と5カ月連続のプラス。これは新型車を中心に国内市場で販売が好調な他、前年の部品供給不足の反動で生産が回復していることが理由。部品供給の改善を受けて、輸出も同46.7%増と6カ月ぶりにプラスへ転じた。

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