次の東京モーターショーは「グリーン&デジタル」、脱炭素の要請も加速?:自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)
1週間、おつかれさまでした。週末です。2021年の折り返しが見えてきました。
自動車メーカーがサプライヤーに対してCO2排出量の削減を求め始めたのも、強い意思と行動の現れでしょうか。日本経済新聞によると、トヨタはティア1サプライヤーに対して2021年のCO2排出量を前年から3%減らすよう要請しました。ホンダも2021年秋までに、主要なサプライヤーに排出削減目標を示します。
カーボンニュートラルのお手本となりそうなのは、「企業運営としては既にカーボンニュートラルを達成している」というアップル(Apple)ですね。同社は2020年7月に、サプライチェーンの100%をカーボンニュートラルにすると発表しました。製品での低炭素な再生材料の採用、施設の省エネ、再生可能エネルギーによる電力のみの使用、アルミニウム材の生産プロセスの見直し、大気中のCO2除去など取り組みは多岐に渡ります。再生可能エネルギーの活用について、サプライヤーにノウハウやトレーニングも提供しているのだとか。
気になるのは、CO2排出削減には現在の排出量を知る必要があるという点です。クルマなら走行中のCO2排出量を測る方法がありますが、サプライチェーンが対象となるとCO2排出量算定を効率化するコンサルティングサービスを幾つか見かけましたので、かなり厄介な作業となりそうです。CDPの気候変動質問書に回答する場合、報告対象となるカテゴリが細かく分類されており、オフィスで使用する燃料、営業車の走行、オフィスや工場で使用する電力、原材料や製品の運搬、社員の出張や通勤などと設定されています。
弊社のようにほとんどの社員がテレワークしていればオフィスの消費電力は大幅に削減されますが、社員一人一人が家で使う電気はどうカウントするのだろう、などと考えてしまいます。本当に徹底するならば、電力の切り替えを会社が指示したり、カーボンニュートラルな設備を備えた社宅への引っ越しを奨励したりするのでしょうか? 自分の今の暮らしではどれほどのCO2排出量なのか、どうにかして算出してみたい気持ちになりました。
企業や業界団体では太刀打ちできないからこそ、国は何をするのか
カーボンニュートラルに向けたプレッシャーだけでなく、半導体など部品や材料の供給不足を見ていると、企業単位や自動車業界だけではどうにもならないことがたくさんあるのを改めて実感します。そうなると国は一体どういう考えなのかが気になってきますね。
例えば、経済産業省が6月4日に発表した「半導体・デジタル産業戦略」では、半導体を国家事業とする方針が示されました。「経済安全保障」の観点で不可欠な取り組みであると位置付けられており、日本国内に半導体製造の基盤を整えます。発表された資料はまだまだ読み込めていませんが、“日の丸半導体の凋落”の反省を生かし、同じ失敗を繰り返さないための戦略が立てられているのでしょうか。
日本の半導体の下り坂をリアルタイムで知っていた方は、業界の中にいた人も、官庁から見ていた人も、たくさんいるのではないでしょうか。何かが起きている真っ只中では正確に状況をつかめなくても、今だからこそ振り返って整理できることもあるように思えます。
今週はこんな記事を公開しました
- いまさら聞けない自動車業界用語
- カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会
- 製造IT導入事例
- 電気自動車
- タイヤ技術
- 製造マネジメントニュース
- 車載ソフトウェア
- 組み込み開発ニュース
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