マツダがなぜガソリンターボ? 三菱自に続きスズキも不正…燃費ってなんだったの:オートモーティブ 年間ランキング2016(2/2 ページ)
2016年も自動車に関するさまざまなニュースがありました。1年間で、MONOistのオートモーティブフォーラムで多く読まれた記事を振り返ってみます。2016年に公開した記事の読まれた回数ランキングをご紹介します。
4〜10位にランクインした記事は……
1位から10位のランキングは以下のようになっています。続いて、複数の記事がランクインしたあの不正についても振り返ってみます。
オートモーティブフォーラム 年間記事ランキングTop10
- 「N-ONE」がピックアップトラック、「S660」がクラシックカーに変身
- 「ぶつからない」と言い切ったアイサイトが日本の運転支援システムを変えた
- マツダのSKYACTIVターボエンジンは“意味ある”過給ダウンサイジング
- 日産が軽自動車の開発を始めなければ、三菱自の不正は隠されたままだった
- スズキの新型SUV「イグニス」、位置付けは「ハスラー」と「エスクード」の中間
- ヘッドランプ進化の歴史、シールド式からハロゲン、HID、LED、そしてレーザーへ
- 「これ謝罪会見ですよね? 何を謝りに来たんですか?」
- 三菱自の燃費不正、試験場所に“不都合な真実”はなかったのか
- 日本で売れない「マーチ」、フランスではファッションブランド特別仕様車が好評
- スバルの新プラットフォームは日本車価格で欧州車の走りを超える
新年度は三菱自動車の不正からスタート
2016年度に入ってすぐ、4月に三菱自動車の不正に関する最初の会見が行われました。第4位の「日産が軽自動車の開発を始めなければ、三菱自の不正は隠されたままだった」では、タイトルの通り、日産自動車と軽自動車を共同開発していたことがきっかけで、走行抵抗値の測定の不正が明らかになったことをまとめています。
三菱自動車は、燃費測定試験を行うシャシーダイナモの設定に必要な数値の1つである走行抵抗値を国が定めた方法(惰行法)で測定していませんでした。走行抵抗値は、自動車メーカーが測定して国土交通省に届け出る数値ですが、「高速惰行法」と呼ばれる三菱自動車独自の手法で複数の車種の走行抵抗値を測定していたのです。
そればかりか、実際には測定せずに、燃費値とつじつまの合う走行抵抗値を計算で決めるということも行っています。惰行法で正しく走行抵抗値を測ったのに計算で数値を補正したり、型式を取得する車種以外の車両で測定した走行抵抗値を報告したり……といったことも実行されてきました。一方で、正しく走行抵抗値が測定された車種もありました。
結果として、三菱自動車の各種モデルのJC08モード燃費は、場合によっては正規の走行抵抗値による測定結果とは1割以上の差がつきました。三菱自動車は、正確な燃費でなかったモデルのユーザーに対し、一時金や賠償金を支払っています。
国土交通省が燃費測定試験に惰行法を導入したのは1991年のことです。三菱自動車は当時、惰行法に移行する準備を怠った上に、「高速惰行法と惰行法を比較しても走行抵抗値に大きな差はない」と判断して惰行法に移行しないまま2016年まで至ったようです。
第8位は連載「和田憲一郎の電動化新時代!」の「三菱自の燃費不正、試験場所に“不都合な真実”はなかったのか」です。最初の会見があった直後の段階で、三菱自動車の開発部門に在籍していた和田憲一郎氏に、自動車メーカーの開発現場をよく知る立場から不正の不可解な点を整理してもらいました。三菱自動車が愛知県岡崎市に持つテストコースでは、惰行法の実施が難しかったのではないかと推察していました。
4月以降続いた会見を聞いていると、三菱自動車はテストコースが原因で惰行法を行わなかった訳ではないようでした。しかし、三菱自動車と同じように惰行法で走行抵抗値を図っていなかったスズキは、まさにテストコースが理由で惰行法以外の測定方法を選んでいました。静岡県牧之原市にあるスズキの相良テストコースは強風が吹きやすく、風の強さまで規定されている惰行法を効率よく実施するのが難しかったというのです。
三菱自動車は日産自動車からの資本を受けて、またスズキはテストコースの改修を実施するなどの対策を講じて再出発しようとしています。
2017年は、不正のような悪いニュースがなく、クルマの前向きな進化が話題に上る1年になってほしいものです。
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