災害後に知った「いざというときに本当に必要だったこと」:「製造マネジメント」ランキング
MONOist 製造マネジメントフォーラムでアクセスが多かった記事を紹介します。今回の集計対象期間は、2012年6月15〜30日です。
全量買い取りを支える負担金と蓄電池
住宅用蓄電池の話題が注目を集めました。直近では一般家庭向けの電気料金値上げが話題となっています。電気料金は契約形態によっても大きく異なりますが、今後は、太陽光発電の全量買い取り制度を維持するため「太陽光発電促進付加金単価」の負担が必須となります。一般家庭からすると、実質的な値上げとなる見込みです。
一方で、太陽光発電設備を設置しやすい一定量の敷地を持つような事業主にとって、全量買い取り制度は、CO2削減目標を達成すると同時に、電力販売による新たな収益源を得るチャンスといえます。実際に倉庫業者や物流業者、工場を中心に、全量売電を前提としたソーラーパネル設置の動きが盛んになってきています(関連記事1、関連記事2)。
電気料金は、ピーク時の使用量を基に契約内容を決定します。ですから、ピークシフトは、地域全体の電力需給調整を助けるだけではなく、各家庭の電気料金負担を低減するためにも、有効な方法です。蓄電池や発電機は、緊急時の電源確保の意味を持つ一方で、日々の電力消費量のピークシフトを考え、節約を試みる上でも有効な手段のようです。
記事「一般家庭・小規模事業主が安心して蓄電池を使うために――あるメーカーの震災後の製品展開から」では震災を契機に、市場ニーズに対応していくうちに全く別の市場に参入していったある企業を取材しています。取材した製品は鉛蓄電池を使ったものです。ガソリンエンジン車のスターターなどの電源として使われるバッテリーが鉛蓄電池の一番身近な例でしょう。
鉛蓄電池の特徴は、出力密度が高いことです。一方で、長時間持続的に安定した電力を供給するには不向きな面もあります。また、中に使われている「バッテリー液」には希硫酸が使用されていることもあり、個人で取り扱うのは難しいものです(接続を間違えると劇物である希硫酸が飛び散るなどの危険性があります)。
取材した製品では、鉛蓄電池が苦手とする、安定的・持続的な給電を実現するために、複数のセルを使った並列接続や、安全性を保つためのパッケージ化などで対応しているということです。
取材では、われわれ自身が知らなかった「いざというときに対処しなければならなかったこと」を思い知った方々のエピソードを聞いています。用意していたものが実際には機能しなかった、思わぬところに見落としがあったという声です。デモ展示の場所そのものも大きく変わったそうで、以前はホームセンターなどが多かったそうですが、最近では「住宅展示場でEVやPHVと並んで展示されるケースが増えた」そうです。
製造マネジメント Access Top10
海外進出と、日本らしいモノづくりの現場と
第2〜4位は併せて読んでいただきたい記事です。
第2位、第4位は、日本企業の進出が進むASEAN地域の動向をレポートしていただいている人気連載「知っておきたいASEAN事情」です。特に第4位の記事では、チャオプラヤ川の氾濫に右往左往したタイを拠点とする製造業の現状を紹介していただきました。
のどもとを過ぎたように思われている水害ですが、雨季は毎年やってきます。水害発生直後の緊急寄稿でも言及があった治水事業の遅れをタイ政府がどのくらい本気で推進するかに注目が集まっています。
日本企業が安価な労働力や新しい市場を狙って海外進出し、現地で奮闘するさまを紹介しているこの連載記事に挟まれて、第3位にランクインしたのが、「ソニーの“プロ機”が日本人にしか作れない理由」です。
多能工を前提とした生産ラインと、IT技術を使ったミスを最小限にするための工夫、現場レベルで実現するカイゼンの飽くなき取り組み……、皆がイメージする通りの、日本的モノづくりの良心がつまった記事と言えるでしょう。
日本国内に残っていくべきものは何かを考える上で参考になると同時に、日本的現場力の高さを誇らしく感じられる内容です。ぜひ、通読してみてください。
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