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洪水が明けて――今年の雨季をタイ現地企業はどう乗り越えるか?知っておきたいASEAN事情(8)(1/2 ページ)

2011年の製造業界にとって大きな試練の1つとなったタイの洪水被害。被害は終息したものの、今年も雨季が近付く。現地企業の動向をレポートする。

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 今回は、特別編第2弾として、洪水災害からの復興途中にあるタイの現地事情をお伝えします。このところ、日本国内で報道される機会は減りましたが、2012年内に自然災害である洪水が再発しない保証はどこにもありません。

 雨季の始まった現地タイで、日系製造業はどのような問題を抱え、どのような対策を講じているのでしょう。

 下の図は、2011年12月28日付けで日本貿易振興機構(JETRO)のバンコク事務所が発表した「洪水マップ」です。これが最終更新です。この資料が出された2011年12月末といえば、洪水の最悪期は抜け、チャオプラヤ川上流地域の洪水被災地域では既に水が引いた時期です。

fig01
JETROバンコク事務所が発表した「洪水マップ」(JETRO万国オフィス発表資料、クリックで拡大図表示)

 簡単に言ってしまえば、国土の3分の2に当たる面積が水に浸かってしまったのが、2011年の洪水騒動です。自然災害としての要因、人的災害としての要因が複雑に絡み合い、広範囲かつ長期間にわたる洪水被害が発生したと考えられます(人的要因については過去の記事参照)。

fig02
バンコク周辺の工業団地の被害状況(JETROバンコク事務所発表資料、クリックで拡大図表示)

 上記もJETROバンコク事務所の発表資料の一部で、バンコク周辺にある工業団地の被害状況をまとめたものです。地図の上下方向にチャオプラヤ川が流れており、今回の洪水被害が発生した工業団地は、バンコクから見て地図上部(北部)に集中していることが分かります。

洪水発生工業団地
No. 工業団地名 企業数 日系企業数
1. サハ・ラタナナコン工業団地 42社 35社
2. ロジャナ工業団地 218社 147社
3. ハイテク工業団地 143社 7割*
4. バンパイン工業団地 84社 30社
5. ファクトリーランド工業団地 14社 5社
6. ナワナコン工業団地 190社 104社
7. バンカディ工業団地 34社 28社
(出典:JETRO バンコク事務所)

 日本のニュースで繰り返し報道されていたホンダ4輪工場はロジャナ工業団地、キヤノンはハイテク工業団地にあります。この2工業団地にナワナコン工業団地を加えた3つの工業団地に、多くの日系製造業が集中していることが分かります。

 一方、バンコク東部&中部の工業団地では(地図上では右側)、サプライチェーン断絶による生産調整や停止はあったものの、洪水の実被害は全く発生しませんでした。理由は簡単です。洪水を起こしたチャオプラヤ川から離れているためです。

洪水被害の発生しなかった主要工業団地
地域 工業団地
東部 アマタナコン工業団地
  ピントン工業団地
  レムチャバン工業団地
  イースタンシーボード工業団地
  アマタシティー工業団地
中部 ゲートウェイシティー工業団地
  304工業団地

アマタナコン工業団地
アマタナコン工業団地

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独立系中堅・中小企業の海外展開が進んでいます。「海外生産」コーナーでは、東アジア、ASEANを中心に、市場動向や商習慣、政治、風習などを、現地レポートで紹介しています。併せてご覧ください。


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