住宅用大容量蓄電池をパナソニックが製品化、容量は1.6kWhと3.2kWh:スマートグリッド
直接電気製品をつなぐだけでなく、配電盤と接続して利用することもできる。停電時などには、500Wの電気製品を約2時間(または約4.5時間)利用できる。
パナソニック電工は、2011年10月27日、住宅設置用の大容量蓄電池「産業住宅用リチウムイオン蓄電システム」(以下、蓄電システム、図1)の受注を11月15日から開始すると発表した。設置工事が必要になる場合があるため、住宅メーカーや工務店などの施工業者を通じて販売する。出荷開始は2012年12月。
停電時の電力供給の他、電力のピーク需要抑制に役立つという*1)。500Wの機器を約2〜約4.5時間利用可能だ(容量1.6kWhの製品と同3.2kWhの製品)。
*1)内蔵タイマーを使うことで、ピーク需要抑制に役立つ。3.2kWhの製品の場合、昼間にタイマーを設定することで、蓄電システムから電力を供給し、3時間で1.5kWhの電力をピークシフトできるという。
容量と利用地域によって4製品に分かれる。容量1.6kWhの製品は、50Hz地域用(LJ-SA16A5K)と60Hz地域用(LJ-SA16A6K)の2品種に分かれる。価格はいずれも138万6000円。容量3.2kWの製品の価格は168万円。重量と容量以外の仕様は1.6kWhの製品と同じである。
家庭用の交流100Vのコンセントから充電が可能。蓄電システムの出力は700VA(交流)。同時に接続する機器は500W以下に抑えることを推奨している。容量0の状態からの充電時間は約12時間。
図1 産業住宅用リチウムイオン蓄電システム 18650型の円筒状のリチウムイオン二次電池を312本内蔵する。容量は1.6kWh。寸法は幅560mm×高さ630mm×奥行き600mm、重量は92kg。容量3.2kWhの製品もある。出典:パナソニック電工
停電に自動対応
使い方は単純だ(図2)。まず、家庭用コンセントに常時、蓄電システムを接続しておく。停電時に蓄電システムに充電した電力を利用する方法は2つある。1つは蓄電システムが備えるAC出力コード経由で、電気製品を利用する使い方だ。一時的に携帯電話機などを充電するために、本体表面にコンセント(2口)を用意している。
もう1つは、蓄電システムを住宅内の分電盤にあらかじめ接続しておく使い方だ。住宅内の天井に設置された照明や通信機器などを使う場合に向く。なお、分電盤に接続しながら、蓄電システムのAC出力コードを同時に使うことはできない。
いずれも、停電時の切り替え時間は約20ms。デスクトップPCなどを使うためのUPS(無停電電源装置)として利用することはできない。
同社は2011年8月31日から産業用リチウムイオン蓄電システムの受注を開始していた。同システムのノイズは産業用の規格に準拠しており、今回の製品のように住宅内で使うためには、ノイズを低減する必要があった*1)。ノイズ対策以外の仕様や価格は、産業用リチウムイオン蓄電システムと同じである。
*1)産業用はVCCI規格クラスAに準拠、今回の住宅製品はより厳しいVCCI規格クラスBに準拠している。
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