前述のAI活用における4つの課題に対し、デル・テクノロジーズは「Modern Workplace」「Modern Data Center」「AI Solution」の3つの事業領域を通じて、企業のAI活用を支援する考えだ。
デル・テクノロジーズは「Modern Workplace」「Modern Data Center」「AI Solution」の3つの事業領域を通じて、企業のAI活用を支援する[クリックで拡大] 出所:デル・テクノロジーズModern Workplaceでは、AI PCやワークステーションなどのエンドユーザー向け製品やソリューションを提供。一方、Modern Data Centerでは、サーバやコンピューティング基盤、ストレージ、データプラットフォーム、サイバーレジリエンスなどを展開し、既存のITインフラの刷新を支援する。
AI Solutionでは、AIインフラや「Dell AI Factory」、プロフェッショナルサービスなどを提供する。Dell AI Factoryは、AIの導入/運用に必要なITインフラやソフトウェア、サービスなどを組み合わせた包括的なアプローチで、拡張性と迅速な構築を特長とし、世界で6500社以上に採用されているという。
また、ロボトム氏は同社の強みとして、IDCの最新の調査結果を交え、AIインフラの売上高シェアで世界首位に位置することを紹介。日本国内では外付けストレージを含むストレージやサーバの分野でもトップシェアを獲得していることを強調した。
もっとも、こうしたAI基盤の構築だけで企業のAI活用が完結するわけではない。ロボトム氏は「新しいインフラを作るだけでなく、今あるデータやアプリケーションをどのように生かし、AIをビジネスに貢献させるのかが重要だ」と説明する。
さらに、ロボトム氏は日本企業のAI活用を支援するための枠組みとして、「Vision」「Talent」「Infrastructure」「Partnership」の4つの要素を掲げる。
Visionでは、顧客企業と対話を重ね、AIを活用して何を実現したいのかを明確にすることを重視する。そのための拠点として、大手町本社内にある「Executive Briefing Solution Center」(以下、EBSC)を活用。同センターの役割について、ロボトム氏は「お客さまの経営層と、どのようなビジョンがあるのかを話し合い、そこから同センターでのテストや、具体的なITソリューションの検討につなげることができる」と説明した。
また、同センターには、AI関連の技術やソリューションの検証などを通じて、顧客企業やパートナー企業のAI活用を支援する拠点「Solution Center AI Innovation Lab」(以下、AI Innovation Lab)や、法人向けクライアント製品の実機体験/検証施設である「Tech Rally Residency Tokyo」なども設けられている(詳しくは後述)。これらの施設が同じ拠点に集約されていることで、経営層との対話から、AIインフラやソリューションの技術検証、PCやワークステーションなどの実機体験まで、顧客企業のさまざまなニーズに対応できる環境が整えられている。
Talentについては、次世代リーダーの育成を目的とした「Next Gen Leaders Program」を展開する。大学生や働き始めたばかりの若手社会人などを対象にITへの理解を深める機会を提供する他、自治体と連携した活動も実施。今後さらに拡大する考えだ。
Infrastructureでは、AI PCやDell AI Factoryなどを通じて企業のAI基盤整備を支援する。Partnershipについては、顧客企業やITパートナー、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)などとの連携を重視している。
ロボトム氏は、日本市場では長年、顧客企業とITパートナーが密接に連携してきた経緯に触れ、AI活用においてもパートナーとの協力が必要不可欠になると説明した。
Modern Enterprise Readiness Study 2026によると、日本企業の92%が変革目標の達成に向けて、既存パートナーによるさらなる支援を期待しているという。一方、ビジネス成果の実現に向けた長期的なロードマップをパートナーと共同で推進している企業の割合は、日本が70%で、APJC全体の81%を下回った。
この結果について、ロボトム氏は「日本のお客さまはITパートナーに対する期待が非常に高い。その一方で、パートナーの能力によって、どこまで期待してよいのか分からない面もあるのではないか」との見方を示した。
こうした状況を踏まえ、デル・テクノロジーズはパートナー企業との協力を通じて、技術力や提案力を高めていく方針だ。ロボトム氏は「AIによる変革に必要なのは、競争ではなく“協力”だ。さまざまな専門知識や経験が必要になるため、一緒に作っていくことが重要になる」と述べる。併せて、同社がグローバルで蓄積してきた知見や顧客事例についても、日本市場での活用を進める考えだ。
日本市場における今後の事業展開については、自動車産業を含む製造業への貢献を高めるとともに、AIインフラの構築や独自のAIモデル開発、エージェント型AIの活用などに取り組むスタートアップ企業についても、支援の可能性を探る考えを示している。
ロボトム氏は、日本市場での今後の方針として、「AI Outcomes」「Trusted AI」「Ecosystem Innovation」「Japan's Growth」の4つを提示した。
AI Outcomesでは、AI投資によって得られるビジネス成果を明確にし、企業の投資判断につなげることを重視する。Trusted AIでは、セキュリティやデータアーキテクチャなどを考慮した、信頼できるAI基盤の構築を支援する。
さらに、Ecosystem Innovationでは、ITインフラを担うパートナー企業に加え、AIアプリケーションやエージェント型AIを開発するISVなどとの連携を通じて、新たな価値の創出を目指す。そして、Japan's Growthでは、こうした取り組みを通じて、日本経済の成長に貢献していく考えだ。
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