本稿では「砂漠の砂で未来の“道”を創る 人工骨材『Rising Sand』が切り開く世界とは」と題して、PathAhead 代表取締役CEOの伊賀将之氏が行った講演の一部を紹介する。同講演では、砂漠の砂を活用した人工骨材「Rising Sand」を通じて、未利用資源の価値化や材料技術の可能性、同材料の社会実装に向けた展望について説明した。
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本稿では「砂漠の砂で未来の“道”を創る 人工骨材『Rising Sand』が切り開く世界とは」と題して、PathAhead 代表取締役CEOの伊賀将之氏が行った講演の一部を紹介する。同講演では、砂漠の砂を活用した人工骨材「Rising Sand」を通じて、未利用資源の価値化や材料技術の可能性、同材料の社会実装に向けた展望について説明した。
PathAheadはホンダの新事業創出プログラム「IGNITION」を通じて2026年2月に創業したばかりの企業だ。複数の投資家から合計1.54億円を調達し、ホンダはマイナー出資者という形でPathAheadに関わっている。
伊賀氏はPathAhead創業前に本田技術研究所の材料研究センターに所属していた。同センターは、事業分野の枠組みを超えて『革新的な材料技術』を創出することを目的として2023年に設立され、さまざまな研究開発を実施している。
同センター在籍当時に行われた新たなアイデアを募る「ワイガヤ」と呼ばれる会議の中で、エンジニアたちから「砂漠の砂を利用する技術があるらしい」「これから成長する市場はアフリカだ」という意見が出たという。
これらの意見を踏まえて伊賀氏は「砂漠の砂を活用して道路を作って移動の自由を提供する」ことを提案した。より詳しい情報を集める中で、世界規模で砂が不足しており大きな社会問題になっていることを知ったという。
砂はインフラに使われる基本的な材料で、世界的な建設ラッシュにより、一定の要件を満たした砂が枯渇し、採掘が禁止/制限され、それに伴い価格は上昇している。この問題への対応が社会課題となっていることから、伊賀氏は生まれたアイデアを実現するべく、砂の研究を進めることを決めた。
伊賀氏は「自動車の素材の開発に関しては社内にある程度の知見(開発ノウハウ、仕様設定手法、解析スキルなど)があったが、土木/建設の領域に関しては知見が少なく、まさしく“ゼロの状態”での素材開発となった」と語る。
PathAheadは「高耐久な道路素材を提供し、アフリカに持続可能な道路網を築くことで、人と社会の無限の可能性を解き放つ」というミッションを掲げている。アフリカでは低い舗装率による輸送効率の悪さが経済成長の足かせとなっている。「1m進むのに何時間もかかるという状況も見受けられる」(伊賀氏)。
開発途上国の舗装率は20%以下だ。舗装状況が悪いために、スピードが出せず渋滞になってしまうことで、経済にも悪影響を与えている。例えば、先進国と比較し平均の輸送コストが約3倍に達するというデータもある。
こうした問題に対してケニア、タンザニア、南アフリカの3カ国では合計7600億円が毎年投資され、舗装工事が行われている。しかし、予算が潤沢であるにもかかわらず劣悪な状況は変わっていないようだ。
この背景には、開発途上国における道路の寿命が非常に短いという要因がある。伊賀氏は「せっかく道路を舗装しても表面がすぐにボコボコになってしまう」と述べる。このようになってしまう理由は、粗悪な砕石を用いるなど低品質な材料を使っているためだ。寿命は1〜5年程度であり、先進国の道路に比べてかなり厳しい状況である。
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