パイメルの生産戦略では富士支社の敷地内に新工場を設立し将来の需要を確実に取り組む。パイメルの新工場は2024年12月に稼働予定でデジタルトランスフォーメーション(DX)により生産性を高める。同工場のDXでは、独自の情報基盤「モノづくりデータベース」を構築するとともに、原料情報とプロセスデータをデジタル化する。
そして、原料情報やプロセスデータ、工程検査の結果をモノづくりデータベースにつなぎ、これらの情報を一元管理できるようにする。さらに、パイメルの重合工程で新プロセスを導入し収量を高めるとともに、技能が求められる作業を削減し省人化を図る。調合工程でもセンシング技術と自動化技術により作業の支援を行い、省人化を実現する。
パイメルの品質保証(品証)戦略では、富士支社の敷地内に新たな品証棟を2024年6月に立ち上げた。新たな品証棟は、グローバルの半導体メーカーからの高度化する品質要求(検査項目が従来比3〜4倍)に対応する他、将来の品質要求を先取りする最新の異物検査装置も導入している。
同品証棟では、パイメルを塗布したシリコンウエハーを高速回転させて薄膜を形成する「スピンコート(薄膜形成)」、このウエハーにマスクを通してUVを照射しマスクに描かれたパターンを転写する「露光」に対応する他、未露光部を現像液により溶解し露光部のみを残す「現像(ネガ型)」などにも応じる。
これらにより半導体メーカーのパイメル利用プロセスを模擬した工程を行える。そのため、パイメルの塗布が完了したウエハーに対して、リソグラフィ性能検査(パターン形状など)やフィルム特性検査(強度など)、ウエハー表面の異物検査などに対応している。加えて、パイメルの性能検査として液体の特性検査(粘度など)や不純物(金属イオンなど)の分析も行える。
山岸氏は「新たな品証棟により、顧客の最先端工程で求められる微小異物などの管理強化や増加する検査項目に対応し、顧客での不良発生ゼロを目指す。最終製品での不良検出のみならず、製造工程中のポイント管理により不良品そのものを作らない体制も構築する。測定自動化と検査結果のシステム管理拡大により、人的ミスが発生し得ない品質保証体制も実現する」と語った。なお、新工場と新品証棟の投資額は150億円以上となる。
パイメルの開発戦略としては、マテリアルズインフォマティクス(MI)や自動化技術で開発を高速化し、他社に先行して技術を創出し特許を取得する考えを示している。これらの4つの戦略によりパイメルの売上高を2030年に2022年と比べ倍増する見込みだ。
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