「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。今回は、製造業における「クラウド利用」について取り上げてみたいと思います。
本コラムは、なるべくセキュリティを考える入口にしたいと思っています。「セキュリティなんて難しいから誰かやっといてよ!」という方こそがターゲットであると考えながらトピックを選んでいます。そこで今回は、製造業における「クラウド利用」について取り上げてみたいと思います。
「クラウド」というと非常に広い範囲を指し示していますので、その辺りも気を付けながら言及したいところです。しかし、セキュリティの世界は“断言”することが非常に難しく、安全だと思えば安全ではなく、危険かと思うものほどそうでもないということが多かったりします。
今回は“クラウドをちょうどよい具合に怖がりながら使うにはどうしたらいいか”を考えてみましょう。
まず、安全を考える前に、クラウドのメリットを考えてみましょう。
クラウドがなかった時代では、何らかのICT(情報通信技術)システムを作り上げようとすると、必ずサーバを買わなければなりませんでした。サーバを固定資産として購入するには、サーバを置く場所はもとより、その購入や設置に関する事前の稟議(りんぎ)や、その運用保守なども考えねばなりません。いくら小さな企業でも、これには時間も手間も掛かることが分かると思います。
そこで、クラウドが注目されました。クラウドはそういったサーバのリソースなどを好きなときに、好きなだけ利用できます。月単位の課金やデータ量単位の課金など、さまざまな選択肢が用意されており、不要になったら利用をすぐに停止できるのがポイントです。その意味では、クラウドは非常に「楽」であるといえるでしょう。
では、「安全」の面ではどうでしょうか。「クラウドならば安全になる!」と思いたいところなのですが、実際には安全な部分もありますし、逆に気を付けて使わなければならない部分もあります。
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