東芝は、同社グループが経営方針で掲げる「デジタル化を通じたカーボンニュートラル/サーキュラーエコノミー」の実現を加速するため、ドイツのデュッセルドルフに新しい技術拠点「Regenerative Innovation Centre」を開所したと発表した。
東芝は2023年9月21日、同社のグループが経営方針で掲げる「デジタル化を通じたカーボンニュートラル/サーキュラーエコノミー(CN/CE)」の実現を加速するために、同月20日(現地時間)にドイツのデュッセルドルフに新しい技術拠点「Regenerative Innovation Centre(リジェネラティブ・イノベーションセンター)」を開所したと発表した。
Regenerative Innovation Centreでは、CN/CEに関わる技術開発や社会実装を重視する欧州地域の中核の技術拠点として、先端技術の開発、同社グループが保有する技術の社会実証、標準化活動などをパートナーとともに推進していく。これらの取り組みを通じて、欧州コミュニティーへの参画、パートナーとの関係を深め、科学、工学、経済、社会などの多面的視点でCN/CE に関わる社会課題の解決に取り組み、欧州地域およびグローバル社会でCN/CE実現への貢献を目指す。
東芝 執行役上席常務 CTOの佐田豊氏は「Regenerative Innovation Centreの技術開発では、社会実装、標準化活動を推進するために、欧州の有力大学/研究機関、顧客/パートナー候補との関係構築やCN/CE領域での社会実装に向けた欧州関連コミュニティーへの参画、技術開発/実証プロジェクトへの参画を行う」と話す。
加えて、フィルム型ペロブスカイト太陽電池や酸化銅(Cu2O)/シリコン(Si)タンデム型太陽電池など、同社のコア技術を中核に据えて、バリューチェーンを構成する欧州のパートナーとともに、コア技術を応用した新たな技術/ソリューションの創出を狙う。
コア技術を応用した新技術/ソリューション開発のテーマとしては「デジタル」「P2C(CO2資源化システム)、P2G(再エネの電力を利用して水を水素と酸素に電気分解し、水素に変換して貯蔵/利用する手法)」「急速充電電池(SCiB/ニオブチタン酸化物負極電池)」「産業用パワーエレクトロニクス」を掲げている。
デジタルではカーボンフットプリントの見える化や排出量取引などの新分野でのソリューションを開拓する。P2C、P2Gでは、保有する要素技術のシステムアップによるソリューションの実証や、運用と保守点検、サーキュラー化で役立つデジタルソリューションを開発/実証する。産業用パワーエレクトロニクスでは、産業用モジュールの概念実証(PoC)を通じたソリューションの提供や故障検知などのデジタルソリューションを創出する。
同社は、Regenerative Innovation Centreで扱うコア技術として、ニオブチタン酸化物(NTO)負極電池や超軽量小型高出力超電導モーター、再エネ発電量/電力需要予測システム、省イリジウム水素製造技術、P2CによるCO2資源化技術の概要を説明した。
NTO負極電池は、負極材料のNTOを用いた電池で、事業化を目指して開発を進めている。特徴は、10分間で80%の充電が行える点で、トラックや重機などの電動化/稼働率向上に貢献するとされている。「現在、金属缶のセルを外装に用いたNTO負極電池をパートナー企業に提供して、商用電気自動車(EV)に搭載し実証を行っている。2023年度中に、ラミネートセルを外装に利用したNTO負極電池のサンプルを出荷する予定だ」(佐田氏)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.