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» 2022年03月24日 10時00分 公開

ロボティクスで実現するモノづくりDX、三菱電機が描く工場の最適なマスカスタマイゼーションiREX2022特別企画

FA-ITソリューションの進化に伴い、モノづくり現場ではマスカスタムに対応した、自動化による生産性向上と柔軟性の両立が求められ、柔軟性のあるロボットを活用した自動化への期待が高まっている。三菱電機では、2022国際ロボット展(iREX2022)で「ロボティクスで、ものづくりのDXを理想のカタチに」をテーマとし、これらを実現するロボット関連技術を紹介した。

[PR/MONOist]
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 消費者のニーズが多様化する中、モノづくり現場には少量多品種製品を大量生産の効率で作るマスカスタマイゼーションの実現が求められている。一方で現在これらを実現している人手による製造現場の作業は、労働者不足がグローバルで広がる中、さらなる進化を行うには限界を迎えつつある。こうした状況から今後重要な役割を果たすと見られているのが、人と同様に柔軟にさまざまな作業を行えるロボットの存在だ。

 三菱電機では「2022国際ロボット展(iREX2022)」において、「ロボティクスで、ものづくりのDX(デジタルトランスフォーメーション)を理想のカタチに」をテーマとし、多様性・柔軟性と効率性の両立を求められる新たなモノづくり現場における理想像を示すと共に、これらを支えるロボット関連技術を紹介した。

photo iREX 2022の三菱電機ブースの様子[クリックで拡大]

ワイヤレスマウスの個別生産をロボットで自動化

 三菱電機では、過去のiREXにおいて、モノづくりにおける要望の変化に応じた工場の姿を提案。2017年にはデジタル技術を生かしたスマートファクトリー化により変種変量生産を実現できる世界を紹介し、2019年にはこれをさらに進め人とロボットの共存によるマスカスタマイゼーションの実現を訴えた。2022年は、理想の工場の姿として、変化する受注や生産状況に合わせ、3Dシミュレーション上で工程を組み替え、事前検証する事により、生産設備をリアルタイムに最適化するマスカスタマイゼーションの理想像を示した。

 メインデモ展示では、PC用のワイヤレスマウスを来場者のその場の注文に合わせて、カスタム要件も含めてリアルタイムで受注生産を行う様子を示した。受注してから生産することで在庫なしに30秒に1個の効率的生産を行う。工程には、キッティング工程、組み立て工程、梱包工程の3つの工程があり、これらを人とロボットの共存および最適化配置を行うことによりマスカスタマイゼーションを実現した。現場のハードウェアだけでなく、設計領域を含めたアプリケーションソフトウェアの活用により、エンジニアリングチェーンとサプライチェーンを組み合わせた「DX×Smart Factory」を実現したことが特徴だ。

photo メインデモ展示の様子。PC用ワイヤレスマウスのマスカスタム生産を人とロボットの協働で実現[クリックで拡大]

 具体的には、生産現場のセンサーやロボットなどのあらゆるデータを産業用オープンネットワーク「CC-Link IE TSN」により、産業用PC「MELIPC」に収集しエッジでの情報収集や分析を行う。さらに、これらの情報をSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)ソフトウェアの「GENESIS64」により現場管理者、経営者、発注者などに必要な情報をリアルタイムに示し、分析や診断を行えるようにする。これにより、工場(生産ライン)全体の最適化を行う。また、変更が起こった際には、工程を診断する3Dシミュレーションソフトウェア「MELSOFT Gemini」により、常に変化する受注や生産状況に応じて、適用効果の事前検証を行い、最短で生産設備の最適化ができることを訴えた。

 三菱電機 名古屋製作所 ロボット製造部長の大塚亨氏は「ロボット単体での差別化も追求していくが、それだけでは工場の『ありたい姿』を実現することはできない。今回は周辺の仕組みやデジタル技術を活用することで理想とする姿を表現した」とメインデモ展示の狙いについて語っている。

photo メインデモ展示のシステム構成[クリックで拡大] 出所:三菱電機

 これらの実現はさまざまなアプリケーションソフトウェアの充実がポイントとなっており、三菱電機ではこれらのポートフォリオ強化を推進しているところだ。一方でロボットそのものの普及を広げていくためには、さらに使いやすくし、柔軟な使い勝手を実現するための機能強化が必要となる。iREX2022でもメインデモ展示での活用を含め、さまざまな新技術や新製品を紹介している。

ビジョンやAIを活用しロボットの高度な使用を簡単に

 ビジョンを活用した新たな機能として紹介したのが「2Dビジョンセンサ拡張機能」である。これは、従来個別に行わなければならなかったロボットのプログラミングと2Dビジョンの調整を、エンジニアリング支援ソフトウェア「RT ToolBox3」のみで完結させる機能である。ロボットとカメラの座標合わせやロボットの動作プログラミングを自動生成し、簡単にビジョンとロボットを組み合わせた作業を構築することができる。

photo メインデモ展示上部にも設置されたカメラ。異常時の確認など画像や映像の活用はロボット活用の大きなポイントだ[クリックで拡大]

 加えて、3Dビジョンの設定も容易にする「MELFA-3D Vision 3.0」も紹介している。3Dビジョンは2Dビジョンに比べて設定が難しくなる傾向があったが、独自のAI技術である「Maisart」を組み込み、画像処理パラメータと把持位置認識パラメータの自動調整を実現し、簡単に3Dビジョンシステムを立ち上げることができるようにした。画像認識方式はモデルレス認識とモデルマッチング認識から選択可能で、バラ積みピッキングなど3Dビジョンでなければできないロボット作業を簡単に設定できるようにしている。

 また、画像技術を活用して製造ラインの異常把握と復旧を早める「システムレコーダ」も訴求した。これはドライブレコーダと同様、製造ラインの異常時に各種機器の稼働情報と映像情報を同じタイムラインで記録し異常時の情報をデータと映像を組み合わせて確認できるというものだ。異常の要因をより早く把握できるようになる。

 さらに、ロボットの設定を容易にする先端技術の参考出品なども行っている。さまざまなAI技術を組み合わせ、ティーチングの負荷を大きく低減させる技術として紹介されたのが「ティーチングレスロボットシステム技術」である。同技術は「プログラム生成・調整容易化」「ロボット動作の自動高速化」を実現している。

 「プログラム生成・調整容易化」を実現する技術の1つが「一連動作の経路最適化」である。これは、モノをつかむ位置、置く位置、つかむモノの形状などを設定すると周辺設備に干渉しない経路を自動で生成する技術である。相反する条件を同時に満たす動作調整に有効な全体最適化アルゴリズムを採用しており、経由点や動作パラメータ調整をAIで自動的に行い経路設計作業の負荷を低減する。加えて、ロボットを構成する部品の寿命やモータへの負荷、作業速度を最適化しながらロボットの経路を生成することによりロボットの長寿命化にも貢献するという。

 形状が不安定な物体の境界を高精度に認識する不定形物体向け境界認識AIなども紹介した。これは、数枚の教師データを与えるだけで物体の境界を正確に認識できるAI技術で、高効率なAI処理により学習時間を大幅に短縮していることが特徴だ。食品などの不定形なものを正確に把持するための画像認識技術として実用化が期待されている。また、ロボット個々のアームのたわみなどを学習し制御時に補正して高精度な動作を保証する仕組みなども参考出品し、先進技術を生かした設定容易化技術をアピールした。

photo ARを活用したロボットの干渉確認の様子[クリックで拡大]

 また、音声入力技術やARを活用し、必要最小限の項目の指定でロボット教示を可能とし、さらに干渉の確認などが行える機能なども紹介している。これは、「これ」を「どこ」に「何個」というようにモデル上の場所をタッチ操作で選び、個数や動作を選択するだけで、動作プログラムの生成を可能とするものだ。この入力は音声でも可能としており、複数の音声認識AIを組み合わせることで話しかけるような自然言語を雑音環境下でも問題なく認識できる。さらにこれらで組んだ作業の経路が干渉しないかどうかをAR(拡張現実)で事前に確認することもできる。

 iREX2022では、これらの複数の技術を組み合わせ、ばら積み状態の唐揚げをピックアップし弁当トレイの正しい場所に配置するデモを行った。大塚氏は「より幅広い領域の自動化を進めていくためには、ロボットの高度化はもちろんだが、周辺機器の設定も含め導入をより簡単にしていく必要がある。現状ではロボットの設定が難しく、導入のボトルネックになってしまっている面がある。AIを含む最新技術でサポートすることで少しでもハードルを下げていく。ティーチングレス、プログラムレスでロボットが使える世界を実現させていきたい」と語っている。

photo 複数の先端技術を組み合わせた唐揚げをばら積みピックアップのデモの様子[クリックで拡大]

 さらに、ロボットの導入負荷と共に課題になっているのが、保守である。三菱電機では以前からさまざまなロボットのアフターサポートも行ってきたが、コンディション管理やトラブルサポートなどの機能を統合したアフターサポート統合ソフトウェアを準備。遠隔保守サービスだけでなくリアル点検サービスとの組み合わせなども含めてトータルパッケージとしての展開を計画する。「導入から運用、保守までロボットのライフサイクル全てをサポートできるような形に進化させる」と大塚氏は述べている。

パートナーエコシステムによるロボットソリューションの展開

 ロボット導入を広げていくためには、システムインテグレーションを行うパートナーとの協力も欠かせない。三菱電機のiREX2022ブースでは、パートナー6社と共同で実現したソリューションの展示も行っている。特徴のあるパートナーが捉えた、ユーザーの課題にヒットするさまざまなソシューションを紹介している。

 日鉄エンジニアリングと共同で紹介したのが、ThinkRobotのリアルハプティクス(※)技術を使ったロボットの遠隔操作ソリューションである。リアルハプティクスにより、遠隔で操作するオペレーターの手元にリアルな操作感覚をフィードバックすることで、精緻なロボット遠隔操作を実現する。プラントの炉の中での操作や危険箇所での活用などで期待されているという。

(※)リアルハプティクスはモーションリブの登録商標です。

 ジャパンユニックスと共同で出展したのがはんだ付けロボットである。基板実装向けのはんだ付けについては、実装ラインなどで自動化されているケースが多いが、大型部品や複雑形状の部品については人手ではんだ付けを行う場合もまだまだ多いのが現実だ。これに対し、三菱電機の垂直多関節ロボットとジャパンユニックスが展開する「Soldering Manager」の組み合わせにより、ロボットで複雑立体部品のはんだ付けを自動で行えるようにした。また、その作業内容の管理なども行えるようにしている。

 HCIとはケーブル自動整列巻き取りロボットシステムを共同で出展した。従来は熟練工が手作業で行っていたケーブルの整列巻き取り作業を、三菱電機の「力覚センサー」とHCIの「HCI-RTロボットトラバース制御システム」を組み合わせることにより実現している。

 サンテックとはラベル貼り付けから箱詰めまでの工程を自動化するためのロボットシステムを共同出展し、紹介した。ラベル貼りや箱詰めロボットは既にソリューションとして展開しているが、今回は協働ロボットを採用したことで柵なしでの設置が可能となり、省スペースでの複数工程の自動化を実現した。

 イシダはロボットによる食品ワーク供給とコンピュータスケールによる連携で計量作業を省人化するソリューションを出展した。ロボットのハンドに計量センサーを搭載し、つかんだ食品の重さを計測する。それを組み合わせ計量器のカップに移し、カップごとの食品の重さを組み合わせることで、基準の重さに自動でそろえることができるという仕組みだ。食品などの不定形物では従来は人手で計測しながら足し引きして重さをそろえていたが、それをロボットで自動化することが可能となる。

 三菱電機システムサービスと共同で出展したのが、HACCP対応のロボットインライン検査システムである。ロボット、AGV(無人搬送車)、センシング機器を組み合わせ、インライン検査で食品や医薬品の健全性とデータインテグリティの確保を実現している。

photo パートナーとの共同出展エリアの様子[クリックで拡大]

ロボットを生かした新たなモノづくり

 世界的な労働人口減少に加え、コロナ禍による人の移動制限やソーシャルディスタンス確保などの必要性を考えると、今後はロボットの活用領域をさらに広げ、新たなモノづくり現場の働き方を模索していく必要があることは明らかだ。その中でiREX2022でも見られたように、三菱電機では、豊富なロボットおよび制御機器を含むモノづくり関連機器の知見を生かし、エンジニアリング/サプライチェーン両軸においてさまざまなデータ活用方法を提案し工場の各工程最適化をDXで図る一方、ロボット活用の障壁を下げるさまざまな新技術の投入を進めている。ロボット活用をさらに広げ、製造現場の自動化領域の拡大を進めていくためには、有力なパートナーとなってくれることだろう。

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提供:三菱電機株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年4月23日