パワードウェアを手掛けるATOUN(アトウン)は、腰用パワードウェア「ATOUN MODEL Y」に腕の補助機能を搭載したプロトタイプによる実証実験を2019年5月末から開始すると発表した。
“着るロボット”こと、パワードウェアを手掛けるATOUN(アトウン/旧:アクティブリンク)は2019年5月17日、腰用パワードウェア「ATOUN MODEL Y」に腕の補助機能を搭載したプロトタイプによる実証実験を同年5月末から開始すると発表した。
プロトタイプは、現在販売中のATOUN MODEL Yに「腕補助用追加ユニット」をアタッチ(取り付け)したもので、従来の腰の補助に腕の補助機能が加わることで、作業効果がパワードウェア非着用時と比較して最大37.7%向上するという。
「これまで手掛けてきた腰用パワードウェアによって、“作業を楽にする”ということに関してはある程度達成できた。しかし、われわれが目指すパワーバリアレス社会を実現し、服を着るようにロボットを着る未来を作るためには、“人間の力を引き出す”“力持ちになれる”必要がある」と、ATOUN 代表取締役社長 藤本弘道氏は述べる。
腰用パワードウェアのATOUN MODEL Yは、運輸、製造、農業といったさまざまな作業現場で採用が進んでおり、実証実験の段階を終え、先行導入するユーザーを軸に、市場形成の時期に入っているという。
「現在、ATOUN MODEL Yを活用しているユーザーから『腰と同じように、腕も楽にしてほしい』との要望の声が上がっている。われわれのパワードウェアをさらに普及させていくためには、腕の負担軽減にも取り組んでいかなければならない」と藤本氏は説明する。
同社は既に、腰用パワードウェア(ATOUN MODEL Y)について、JALグランドサービスとの協業を開始しており、グランドハンディング作業と呼ばれるコンテナへの貨物の積み込みおよびコンテナ内での中腰作業などの支援を目的に、羽田と成田で実用導入を進めている(同年6月からは伊丹、福岡で、7月からは札幌でトライアルを予定)。今後この枠組みの中で、腕の補助機能に関する協業もスタートさせる。
なお、前述の通り、腕の補助機能は既存のATOUN MODEL Yに腕補助用追加ユニットをアタッチすることで実現しているが、将来的にはこのアプローチに基づき、さまざまなアタッチ機能が追加オプションとしてアップデート提供される可能性もあるという。
「既存ユーザーであれば、一度当社に機器を送付してもらう必要があるが、実用化という意味で、ハードウェアそのものを継続的にアップデートしていくことが必要だと考えている。また将来、腰用モデルの新型が登場した場合も入れ替えて利用できることを想定している」と藤本氏は述べる。
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