工場IoT実現の第一歩は産業用コントローラーから――エッジコンピューティングの基盤になる製造業IoT

インダストリー4.0などの動きから、製造現場でIoTを活用する動きが拡大している。そこで課題となっているのが、異なるシステム間の連携と現場での情報選別だ。これらの課題を解決するハードウェア基盤として今「産業用コントローラー」が注目を集めている。

» 2016年12月01日 10時00分 公開
[PR/MONOist]
PR

 製造現場でのIoT活用は、現場力に強みを持つ日本の製造業にとって大きな関心事となっている。ドイツ連邦政府などが推進する「インダストリー4.0」をはじめとして、IoT活用が目指す世界は、自律的に最適な生産が行えるスマートファクトリーの実現である。こうした仕組みを実現するには、まず工場のシステム間の情報連携やシステム連携が必要になる。

 現在の製造現場は、各種製造装置にひもづいた個別のシステムが組み合わさって構成されており、この異なるシステム間には連携はない。この異種環境間の差異を埋め、「オープン性」と「ネットワーク対応」を確保するためのデバイスとして注目を集めているのが、産業用コントローラーだといえる。さらに工場内の情報を全てクラウド環境に上げるわけにはいかないので、情報の選別を現場で行うエッジコンピューティングを行う基盤としても期待されている。

エッジコンピューティングの基盤へ

 こうした環境下で「IoTのハードウェア領域におけるインフラとなりたい」としているのが、産業用コントローラーの開発・製造に長年取り組んできたPFUだ。PFUでは長年の信頼と実績を強みとしつつ、工場内IoTなどの新たな動きに対応する産業用コントローラーの製品ラインアップをそろえ、IoT活用の普及を支援していく方針を示している。

 スマートファクトリーなど工場内IoTの産業用コントローラーへの影響についてPFU エンベデッドビジネスユニット エンベデッドプロダクト事業部長の石畠由多可氏は「IoTを活用する機運が高まっているのは間違いありません。その中でもお客様のフェーズは、3つに分かれると考えています」と述べる。

 石畠氏が語る3つのフェーズとは、1つ目が「IoTで何かをやりたい」など具体的に何をするのかが決まっていない段階、2つ目がトライアルとして、各種デバイスの情報収集から取組みを始めている段階、そして3つ目が実際にデバイスを組み込んでIoTを自社の製品力として取り込み完成品として販売するという段階である。

 石畠氏は「当社のお客様もIoT活用レベルにおいて、さまざまなフェーズにいらっしゃいます。それぞれのお客様の状況やお悩みを把握して、最適な形の製品を提供できることがPFUの強みです」と語る。

 具体的には、エッジコンピューティングにも最適化した、高速処理への対応からファンレス・省電力、コンパクトなど幅広いモデルを準備し、お客様のフェーズに合わせたニーズをカバーしているという。

photo 幅広いラインアップでエッジコンピューティングを支える(クリックで拡大)出典:PFU

Azure Certified for IoTモデルやEtherCAT対応も

 産業用コントローラーがエッジコンピューティングの役割を果たす中でも重要になってくるのがクラウド連携である。エッジコンピューティングは現場ですぐにフィードバックが必要な情報については現場で処理するが、時間をかけた分析を行ったり、継続的に記録が必要だったりする場合には、クラウドに蓄積した情報で行うことになる。そのためにはクラウド連携は必須となる。

 こうした中でPFUが新たに取り組んでいるのが、マイクロソフトのクラウド「Microsoft Azure」対応製品の充実である。マイクロソフトではIoTにおけるクラウド利用の拡大を目指し、主要通信プロトコルをサポートした「Azure IoT Hub」を用意。このAzure IoT HubとIoTデバイスの接続を保証しているのが「Microsoft Azure Certified for IoT」である。PFUでは、産業用コントローラー「AR2100モデル120K」「AR2200モデル120K」でこのMicrosoft Azure Certified for IoTを取得しており、これによりユーザー企業が容易にクラウド連携でき、早期にIoTビジネスを開始できるような体制を整えている。

photo 「Microsoft Azure Certified for IoT」認証を受けた産業用コントローラー「AR2100モデル120K」(クリックで拡大)出典:PFU

 もう1つの取り組みが、工場内で利用されている産業用フィールドネットワークへの対応強化であり、PFUでは、まず、自社開発のEtherCAT対応のマスター/スレーブの両カードの販売を開始している。本カードは、EtherCAT制御専用のCPUを搭載し、ホストコントローラーの性能に左右されずに、高精度サイクリック通信を可能としている。さらに、EtherCATネットワークやスレーブ装置の異常発生時にも通信を継続できるケーブル冗長化や、マスター装置の稼働を停止することなく、スレーブ装置交換や取り外しが行えるホットコネクト機能を備え、ダウンタイムの削減に貢献する。機器制御用のアプリケーション開発に必要なコンポーネントは「EtherCAT SDK(※)」として提供され、EtherCATを利用したシステム開発を効率的に実現できる。なお、PFUの産業用コントローラーARシリーズと同様に、本カードも長期供給に対応している。

(※)SDK:Software Development Kit(ソフトウェア開発キット)の略

photo ET展に出展されたEtherCATマスターカード(クリックで拡大)出典:PFU

 石畠氏は「長年、コンピュータ開発に携わった経験から、顧客のニーズに寄り添った開発を進めていけることが当社の強みです。また、信頼性も強みだと考えます。幅広いニーズを満たす製品群を、産業用品質で送り出してきました。耐久性などの他、部品供給体制やサポート体制なども含めて評価を得られています」と強みについて述べている。

負荷分散や機械学習などの先進技術も開発

 今後に向けてはさらにエッジコンピューティングの基盤としてユーザーニーズに応える製品群を増やしていくとともに、「エッジコンピューティングに最適なコンピュータの形」を模索し、先進的な機能開発なども進めていくという。

 IoT活用における情報の分析においては、機械学習や深層学習技術などが活用されるケースも増えてきたが、PFUではまずはこうした技術に対応するような仕組みを自社工場で用意し、産業用コントローラーに必要な機能などを、自社実践により探っているところである。さらに、情報処理量の増減が激しいIoTへの対応としてメインCPUの負荷をFPGAで分散させるような仕組みについても開発を進めているところだという。

 石畠氏は「当社はエンベデッド市場における信頼性や開発経験の実績を強みに、産業用コントローラーにおいてさまざまな期待に応えていきたいと考えています。そのために、エッジコンピューティングのハードウェアならびにソフトウェア基盤への投資を惜しみなく行い、当市場における存在感を築いていきたいと考えています」と述べている。

【商標について】
・EtherCATは、ドイツBeckhoff Automationによりライセンスされた特許取得済み技術であり登録商標です


この記事に興味のある方におすすめのホワイトペーパー:


組み込み機器のIoT対応を支援する「EtherCATカード」


IoT普及に伴い、組み込み機器のIoT化への対応として、EtherCATカードを開発した。EtherCATカードはPFUの組み込みコンピュータARシリーズのオプションカードであり、高速で高精度なEtherCAT制御を特徴とする。

▼ ▼ ▼


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:株式会社PFU
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2016年12月31日