ユビキタスエンターテインメント(UEI)の開発した手書きハイパーテキストタブレット端末「enchantMOON」が、ついに2013年7月7日に発売された。商品の詳細については過去の記事などに譲るが、本稿ではソフトウェア企業としてハードウェアを含めた新製品を生み出す苦労について考えてみる。
ユビキタスエンターテインメント(UEI)が開発した手書きハイパーテキストタブレット端末「enchantMOON」は、Android 4.0ベースの独自OS「MOONPhase」を搭載し「No UI」をコンセプトに手書きに最適化された製品だ。2013年4月23日から予約販売を開始した(関連記事:「スタイラスを捨てたのはジョブズの失敗」――紙とペンによる思考を追求したタブレット「enchantMOON」)が、予約が殺到しサーバがダウンするほどだったという。そのため5月下旬〜6月中旬としていた発売予定日を延期し、2013年7月7日に発売した。
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2013年7月7日に開催された発売イベントでは、ユビキタスエンターテイメント 代表取締役社長兼CEOの清水亮氏が登壇し、あらためてenchantMOONを開発した経緯を説明した。
「そもそもユビキタスエンターテイメントを創業したのは、ハイパーテキストの力を十分に生かせていないのではないか、と考えたことがきっかけだった」と清水氏は語る。そこで最初の製品として携帯電話機向けハイパーテキストPIMツール「UBiMEMO」をリリース。その後情報処理推進機構(IPA)の未踏ソフトウェアプロジェクトに採択されたドキュメント指向アプリケーションプラットフォーム「Zeke OS」やオープンソースのHTML5ゲーム開発ライブラリ「enchant.js」などの開発を行いながら、ハイパーテキストの力を生かし新たな思考方法に貢献するコンピュータの形について模索してきたという。
その後もアプリの開発などで成果を残すが「他のプラットフォーム上でソフトウェアを提供するだけでは企業の中心に据える事業になり得ない。新たなツールで新しい思考に貢献するには、ハードウェアやOSから手掛けるしかないと決意した」と清水氏は話す。
そこで、社内でも限られたメンバーによる秘密プロジェクト「GARUDAプロジェクト」を立ち上げ、ハードウェアの活用に踏み切った。また銀河系軍団と称されたスペインのサッカーチーム「レアルマドリッド」になぞらえた「レアル・マドリッド計画」により、各分野でベストと考える人材を確保したという。
映画監督の樋口真嗣氏と哲学者・思想家の東浩紀氏、製品の外観デザインを担当した漫画家・イラストレーターの安倍吉俊氏、東京大学および東京大学大学院 教授の西田友是氏、また通信キャリアのエンジニアをしていた濱津誠氏などを集めて新製品の開発を進めてきた。
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