　洗濯機についてもエアコンと同じような出願傾向が表れています。洗濯機ではLG電子（天津）とLGエレクトロニクスが累積で2000件近い出願を行っています。また3位は中国電子大手メーカーである南京熊猫（ナンジン・パンダ）とLGエレクトロニクスの合弁企業ですから、洗濯機関連発明では上位3つをLGグループが独占しています。

図4　中国における洗濯機発明・実用新案件数推移と出願人ランキング（10年間累積）

洗濯機の発明件数
出願人（中国語）	出願人（日本語・英語）	累積件数（発明）
乐金电子（天津）电器	LG電子（天津）	1201
LG电子	LGエレクトロニクス	679
南京乐金熊猫电器	南京LGパンダ	523
海尔集团	ハイアール	283
松下电器产业	パナソニック	273
青岛海尔洗衣机	ハイアール	216
BSH博世和西门子家用器具	BSHボッシュ・シーメンス	212
三星电子	サムスン電子	208
三洋电机	三洋電機	113
东芝	東芝	99

洗濯機の実用新案件数
出願人（中国語）	出願人（日本語・英語）	累積件数（実用新案）
海尔集团	ハイアール	326
松下电器产业	パナソニック	181
无锡小天鹅	Little Swan	178
南京乐金熊猫电器	南京LGパンダ	136
海尔电器国际	ハイアール	134
杭州松下家用电器	パナソニック	121
青岛海尔洗衣机	ハイアール	118
苏州三星电子	サムスン電子（蘇州）	103
合肥荣事?洗衣设备制造	Hefei Rongshida Laundry Equipment Manufacturing	76
江苏海狮机械集团	Sea-lion Machinery	60

　市場調査会社Gfkによる調査では、LGエレクトロニクスは世界の洗濯機市場で2008年から3年連続で、売上・販売台数が首位となっています。特許出願だけで強大な市場シェアを獲得・確保できるわけではありませんが、強固なポートフォリオを築くことで世界でのトップシェアを獲得・確保するための参入障壁を築いているといえます。

　LGエレクトロニクスに次いで洗濯機世界シェア2位のハイアールは特許出願ではLGグループに続き2位、実用新案ではトップになっています。日本や欧米企業もパナソニックを始めとしてBSHボッシュ・シーメンス、サムスン、三洋電機、東芝などランクインしていますが、LGエレクトロニクスの圧倒的な出願規模の前には霞んでしまっています。

掃除機は実用新案の出願が増加基調

図5　中国における掃除機発明・実用新案件数推移と出願人ランキング（10年間累積）

掃除機の発明件数
出願人（中国語）	出願人（日本語・英語）	累積件数（発明）
乐金电子（天津）电器	LG電子（天津）	748
三星光州电子	サムスン電子	284
松下电器产业	パナソニック	107
戴森技术	ダイソン	106
LG电子	LGエレクトロニクス	99
三洋电机	三洋電機	90
泰怡凯电器（苏州）	TEK	75
BSH博世和西门子家用器具	BSHボッシュ・シーメンス	59
沃维克	（個人）	50
胡佛	Hoover	50

掃除機の実用新案件数
出願人（中国語）	出願人（日本語・英語）	累積件数（実用新案）
松下电器产业	パナソニック	69
泰怡凯电器（苏州）	TEK	64
金莱克电气	KingClean Electric	43
苏州金莱克家用电器	KingClean Electric	33
苏州金莱克清洁器具	KingClean Electric	26
王跃旦	（個人）	23
胡寿厅	（個人）	20
卞庄	（個人）	20
徐为尔	（個人）	18
松下家电研究开发（杭州）	パナソニック	15

　掃除機については実用新案よりも発明での出願が多くなっていて、他の白物家電とは様子が異なっています。また発明ランキングの上位もLGエレクトロニクスやサムスン電子、パナソニック、ダイソンなど海外メーカーが独占しています。実用新案においてTEKやKingCleanなど中国地場メーカーも出願をしていることが確認されますが、まだまだ数が少ないことを考えると、掃除機はまだまだ地場メーカーが参入するのは難しい製品なのかもしれません。