シーメンスはFA機器制御設計の統合環境「TIAポータル」を発表。ワークフロー指向のインターフェイスと動的構成管理でラインの垂直立ち上げを支援する
独シーメンスの日本法人、シーメンス・ジャパンの産業オートメーション&ドライブテクノロジー事業本部は12月9日、FA(ファクトリー・オートメーション)用の統合型ミドルウエア「TIAポータル」を2011年2月から販売すると発表した。
TIAポータルは製品設計と生産設計の各工程を共通のデータモデルで管理できるようにするもの。同社が従来提供してきた「Totally Integrated Automation(TIA)」を「統合プラットフォーム」として、さらに統合を強化、ワークフローに即して各機器をシームレスに操作できるという。これにより、FAの制御設計コストを最大20%以上、「特にハードウェアとソフトウェアのエンジニアリング工程および立ち上げ工程にかかるコストを、最大で45%削減できる」(シーメンス・ジャパン専務執行役員 インダストリーセクターリード オーラフ・ラーティエン氏)という。日本国内では半導体、自動車、家電の3大製造業を中心に、これらの業種で使われる加工装置メーカーなどにも拡販する考えだ。
これまでシーメンスはFA用の制御設計ソフトウェアとして、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)の設計支援ツール「STEP 7」とHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)の設計支援ツール「WinCC」をWindowsパソコン向けに提供してきた。新たに投入するTIAポータルの機能を使うと、各種のドライブ製品を含めて共通のデータモデルとユーザーインターフェイスで設計作業を実行することができる。例えば制御対象となるハードウェアとネットワークをパソコンの画面上に表示して、ドラッグ&ドロップ操作でネットワーク上のIPアドレスの設定・変更などが可能になる。
実際のソフトウェア構成は、TIAポータルの機能をSTEP 7とWinCCそれぞれの最新版「V11」に組み込む形になる。V11はWindows 7/XPで稼働する。対応する言語は英語を含む欧州5カ国語と中国語で、日本語版は現在開発中。価格は「STEP 7 V11」がシングルライセンスで5万円から、「WinCC V11」が同1万9800円からである(税別)。ドライブ製品向けに「StartDrive V11」も提供する。
さらに産業オートメーション&ドライブテクノロジー事業本部と同じインダストリセクターに属するシーメンスPLMソフトウェアが販売するPLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)システムとも連携できるようにする。「以前から同社のPLMシステムにはシミュレーション結果のデータをSTEP 7用に自動変換する機能が組み込まれており、新たにV11に対応した自動変換機能をPLMシステムの新バージョンで搭載する予定になっている」(シーメンス・ジャパン 産業オートメーション&ドライブテクノロジー事業本部 オートメーションシステム部 プロダクトマネージメントPLC担当 横谷浩行氏)。
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