モノづくりインフラを支える技術たち・その2DMS2009 イベントレポート(3)(1/2 ページ)

2009年6月24日から26日までの3日間、東京ビッグサイトにて「第20回 設計・製造ソリューション展(以下、DMS展)」が開催された。本稿では、出展企業各者の中から注目すべき製品を紹介する。

» 2009年07月22日 00時00分 公開
[原田美穂,@IT MONOist]

段階導入で中堅のモノづくりインフラ構築を支援

 富士通は、「データ衡」をメインテーマとし、PLEMIA製品群を中心としたブース出展を行った。富士通はグループとして、モノづくりインフラ環境構築の実績を多数持っている。とりわけ、「富士通」のブランド力とそのイメージもあり、大規模案件の受注が目立つ印象を持たれる方も多いのではないだろうか。大手のイメージから敬遠される向きもあるかもしれない。

 しかし、会場で同社産業流通ソリューション本部PLMビジネスセンターのセンター長である永嶋寿人氏に伺ったところ「最初はコスト面を気にされるお客さまも具体的なプランなど詳細を説明すると、逆に驚かれることもあるほどです。中堅規模の企業さまにも、富士通のモノづくりノウハウを無理のない投資額でトータルに提供することが可能な製品であることを、もっと知ってもらいたいと考えています」とのことだ。富士通としても、中堅規模企業でのPLMインフラ構築を積極的に促進していく方針であり、そのためにより導入しやすい製品体系を整えている(詳しくは@IT MONOist News「製造工程の「負のスパイラル」を回避するM3コンセプト」を参照)。

 PLEMIAシリーズは今後、メカ・エレキ・ファームウェア協調設計機能の強化される予定で、富士通のDMU製品「VPS」などとの連携も予定されている。

クラリオン・ザナヴィの新システムはAgile PLMベースに

 日本オラクルは、買収したAgile Product Lifecycle Management(Agile PLM)のデモを展示した。

オラクルは2007年末にAgile PLMを中心にすえた、PLM事業基盤強化の方針を発表している(プレスリリース)。

 Agile PLMは、さまざまな機能ごとのコンポーネントから構成されるPLMソリューションだ。原価管理、品質管理、法規制対策、設計データ共有、製品ポートフォリオ管理など、ほとんどの機能を同製品シリーズで提供している。

 DMS展開催中の6月24日にはカーナビを主力製品とする車載音響機器メーカーのクラリオンと、ザナヴィ・インフォマティクスの合併に伴うシステム統合において、Agile PLMによるシステムが採用されたことを発表している。

 このシステム刷新では、2社の開発・製造プロセスの統合とあわせ、製品開発ペースを速めることも目的となっている。システムは「日立PLMテンプレート」と呼ばれる、日立コンサルティングが提供している日立のモノづくりノウハウに即した仕組みをベースとして構築されるという。

 オラクルは、Agile PLMのほかにもCRM、SCM、SRMなどのベンダーを買収してきた。同社単独で基幹システムからSCM、PDM/PLMまでをカバーするシステムを構築できる環境が整っていることが、同製品の1つの強みといえるだろう。

展示では各国の規制物質への対応機能などが紹介されていた
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