課題は海外拠点連携にあり glovia.comが不況に強い理由とは開催直前! DMS2009速報

電機・電子、自動車部品、産業機械に特化した生産管理パッケージ「glovia.com」を開発・販売するグロービアインターナショナルは2009年6月24〜26日に東京ビッグサイトで開催される「第20回 設計・製造ソリュージョン展」に出展する。本稿ではその見どころを取材した(編集部)

» 2009年05月27日 00時00分 公開
[原田美穂,@IT MONOist]

なぜ日本企業ばかりが不況の大打撃を受けるのか

 ひとことで生産管理パッケージ製品といっても、プロセス型製造業と組み立て型製造業とでは、現場で求められる機能に大きな違いがある。glovia.com(グロービア ドットコム)は、組み立て型製造業に特化した生産管理パッケージとして、数多くの実績を持つプロダクトだ。

問題は海外拠点の在庫情報の連携不足にあった

 グロービア インターナショナル セールス本部ダイレクターである小林重悦氏は、「米国を起点とする不況が続く中、その影響を最も大きく受けているのは日本企業かもしれません」と語る。

確かに発端となった米国よりも日本経済の落ち込みが大きいことは各所で報道されている通り、数値として明らかになっている。

 「輸出が中心となる日本の製造業では、海外の在庫状況が見えていなかったために生産調整が間に合わず、在庫を抱え続けなくてはならなくなったことが、傷を大きくした一因ではないでしょうか。海外拠点の在庫状況をリアルタイムに把握していれば、状況は違っていたと考える企業も少なくないと考えます」(小林氏)

 小林氏によると、海外を含む複数拠点を持つ企業は多数あるものの、拠点ごとにまちまちなシステムを導入してしまい、うまく運用できていないケースが多くあるという。

1つのシステムですべての拠点をつなぐ

 1つのサーバシステムで世界各国の拠点をつなぐglovia.comの場合は、「日本に1つのシステムを導入するだけで、各地の拠点でも同じものを閲覧・入力できるようになる。システムは1つで済むので、拠点ごとの管理運用は不要となり、どこからでもリアルタイムの情報を得られる」という。

 各拠点ごとに管理運用費をかけている企業の場合ならば、移行するだけでも大幅なコスト削減が見込めることだろう。もちろん、製品は多数の言語に対応しているので、日本語以外を母語とするスタッフの場合でも違和感なく操作できるはずだ。

小さな投資で段階的な導入を推奨

 生産管理パッケージというと、大掛かりな導入が必要というイメージがあるかも知れない。たしかに、社内の生産工程のすべてに一気にパッケージを導入するとなると、業務フローの整備など、準備に要する期間も人的コストも膨大になる。こうした理由から、効率化に効果があると分かっていても、導入には二の足を踏んでしまう方も多いのではないだろうか。

 「glovia.comでは、より小さな負担で効率よく導入できるように、段階的な導入プランを用意しています」(小林氏)

 同社の段階的導入プランでは、業務分野の一部を対象にプロトタイプを構築・導入し、実業務の流れに合致するかどうかを検証したうえで、適用範囲を徐々に広げていく。このため、導入初期の段階で問題点や課題の整理しながら次のステップに進むことができる。もちろん次のステップにいつどのように進むかは、導入してから考えても遅くはない。

導入実績を基に多様な要求に対応できる強み

 組み立て型製造業での導入実績が多数ある同社ならではの特徴はもう1つある。

 小林氏によると「ほとんどの組み立て型製造業のお客さまが求められる機能が網羅されているため、ゼロから開発するようなことがほとんど必要なく、導入自体はスピーディに完了」するという。glovia.comでは数々の導入経験をもとに、現場で求められる機能がすでに標準仕様として盛り込まれている。このため、導入の際に開発工数がかさみ、導入が遅れるといった心配はほとんどないという。

同社では4月27日より「生産改革応援キャンペーン」を展開、10社限定の導入パックプランを発表した。「このキャンペーンでは、ただ製品を提供するだけでなく、このパッケージをいかに効率よく利用するか、といった点について、現場担当者の方への教育も含めた形でサポートします。10社限定となっているのは、当社が責任をもってサポートを行う体制を維持するため」(小林氏)というように、あえて数量を限定することで、導入後のきめ細かなサポート体制を維持し、品質を下げることなく導入を行えるよう、準備しているという。

問題をきちんと「見せる」仕組みをもったシステム

 生産管理の現場では、よく「見える化」という言葉を耳にする。あらゆる事象を視覚的に把握し、生産効率の向上・ムダの排除に役立てようというものだが、ここに落とし穴がある。

 「例えば、海外拠点を含む生産ラインを管理しようと考えた場合、どうしても海外拠点での異常在庫の存在に気付くのが遅れがちになりはしないでしょうか? これは『見える化』では、能動的に管理者が見ようとしない限り見えないために起こる問題です。管理者が意識的に見に行かなければならない『見える化』では不十分なのです。glovia.comは『見える化』から一歩進んで『見せる化』を実現できるソリューションになっているので、誰もが早期に問題を発見できます」(小林氏)

リーン生産方式の作業フローに即した機能

 また、グロービアインターナショナル プロダクト・マーケティング本部 ダイレクター 花田 完氏によると、glovia.comでは、リーン生産方式の作業フローに則った管理ができるのも特徴の1つだ。リーン技術要因である「視認管理、作業の標準化、段取り削減とTPM、セル製造、ポカよけ、タクトタイム、連続フロー、平準化、プルシステムに対応した機能が提供されているため、導入後は、システム上でこれらのポイントをチェックできる」という。

グロービア インターナショナル マーケティング本部ダイレクター 花田完氏(写真左)と小林氏(右) グロービア インターナショナル マーケティング本部ダイレクター 花田完氏(写真左)と小林氏(右)

ブースでは各社ツールとの連携事例に注目

 今回の取材では、あわせて興味深い情報も披露いただいた。

 日本では未発表だが、今年度中に日本向けに機能追加した製品が登場する予定で、展示会場で参考出展される。次期バージョンでは、近年重視されている企業コンプライアンスへの対応が強化されているほか、アドオン・カスタマイズ開発とパッケージ標準機能を分離させたアーキテクチャが追加され、カスタマイズ部分を包括して製品をアップグレードできるようになる。 現行バージョン導入企業もサポート契約があれば無償でアップグレードできる。

 さらに、他社製品と連携したソリューションにも注力しており、展示会場でも効率的なシステムの例が展示される。例えば、コムネクストの生産スケジューラT(3) Schedule(ティーキューブ スケジュール)と連携したシステムなどが予定されている。同社では今後も生産管理の現場で利用されるさまざまな製品との連携を視野に入れていくということなので、包括的な生産管理の実行方法を検討しているなら、立ち寄って情報を仕入れておいて損はないだろう。

 同社では、DMS展期間以降も、事例紹介セミナーなどで詳しい製品情報を紹介していく予定だ。もちろん、今回出展するDMS展でも導入事例や、セミナー情報が入手できるので、同社スタッフから直接詳細について話を聞いてみるといいだろう。

展示会名 第20回 設計・製造ソリューション展(DMS2009)
開催日 2009年6月24日(水)から26日(金)
会場 東京ビッグサイト
ブース番号 東2ホール 17-14

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