宇宙開発都市ヒューストンでユニバースを叫ぶ!? 3DEXPERIENCE World 2025開幕:3DEXPERIENCE World 2025
ダッソー・システムズ主催の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2025」が米国テキサス州ヒューストンで開幕した。今回の見どころを紹介する。
2025年2月23日(米国時間)、ダッソー・システムズ主催の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2025」(会期:同年2月23〜26日/会場:ジョージ R.ブラウン コンベンションセンター)が米国テキサス州ヒューストンで開幕した(ゼネラルセッションは同年2月24日から始まる)。
前回、開催25周年を迎えた「3DEXPERIENCE World 2024」と同じくテキサス州での実施となるが、今回は航空宇宙産業で有名なヒューストンでの開催となる。
もともとは「SOLIDWORKS World」の名称で親しまれてきた同イベントだが、2020年の開催から、プラットフォーム思考へのシフトとともに新たなポートフォリオ「3DEXPERIENCE Works」を打ち出したのを機に、イベント名称を「3DEXPERIENCE World」に変更。これまで中心だった3D設計/製造ソリューションの「SOLIDWORKS」の話題のみならず、ダッソー・システムズのビジネスイノベーション基盤「3DEXPERIENCEプラットフォーム」とのシナジーをより強調したイベント内容へと進化している。今回も同様の方向性で、SOLIDWORKSおよび3DEXPERIENCE Worksポートフォリオの話題(最新動向や新機能など)が中心になる見込みだ。
また、「Windows 95」と同じく1995年に販売を開始したSOLIDWORKSが、最新バージョンの「SOLIDWORKS 2025」の発表で30年目を迎えている。世界中から熱狂的なSOLIDWORKSユーザーが集結するイベントだけに、アニバーサリーを祝う盛り上がりも見られそうだ。
「3DEXPERIENCE World 2025」の見どころ
3DEXPERIENCE Worldでは、SOLIDWORKSおよび3DEXPERIENCE Worksのユーザーや起業家、学生など約5000人の来場者が世界中から参加する。会期中は、ゼネラルセッションをはじめ、多数の分科会/テクニカルセッションやユーザーセッションが用意され、展示会場(Playground)では最新のユーザー事例や学生らの取り組みなどを見ることができる。
ダッソー・システムズのビジョンや、SOLIDWORKSおよび3DEXPERIENCE Worksの最新機能に関する情報をいち早く入手できるだけでなく、世界中から集まるユーザー同士の交流/ネットワーキングも大きな魅力となる。
今回の見どころとして、まず挙げられるのが2024年1月からダッソー・システムズのCEO(最高経営責任者)に就任したパスカル・ダロズ氏も登壇予定の初日のゼネラルセッションだろう。ちなみに、ダロズ氏は諸事情により前回の3DEXPERIENCE World 2024を急きょ欠席したため、ダッソー・システムズのCEOとして3DEXPERIENCE Worldのステージに立つのは初めてとなる。
近年、ダッソー・システムズは3DEXPERIENCEプラットフォームを軸にバーチャルツインの可能性を訴求し、経験経済(エクスペリエンスエコノミー)の推進に取り組むとともに、持続可能なモノづくり/社会に向けた循環経済(サーキュラーエコノミー)の実現も後押しし、製造業、インフラ、都市、メディカル/ライフサイエンスといった幅広い産業領域の発展に貢献してきた。そして今、同社は“2040年までに目指すビジョン”として、新たに経験経済と循環経済が融合した生成経済(ジェネレーティブエコノミー)の実現を掲げ、メッセージを強化している。
生成経済が実現する社会では、バーチャルとリアルの世界が相互に作用/調和し、同社のプラットフォームやアプリケーションがその実現を支えるという。そうした新たなビジョンに向けたマイルストーンとして、2025年2月に同社のIP(知的財産)ライフサイクル管理機能「POWER’by」の中核に、複数の生成AIを組み込んだ新サービス「3D UNIV+RSES(3Dユニバース)」の提供を発表している。もしかすると、初日のゼネラルセッションのダロズ氏のパートの中で、3D UNIV+RSESに関する説明があるかもしれない。
ちなみに、初日のゼネラルセッションのテーマは「Strategy and Direction」で、先に紹介したダロズ氏の他、ダッソー・システムズ 3DEXPERIENCE Works&CRE(Customer Role Experience)担当 シニアバイスプレジデントのジャン・パオロ・バッシ氏、同社 SOLIDWORKS CEO 兼 R&D担当バイスプレジデントのマニッシュ・クマー氏らが登壇し、同社のビジョンや3DEXPERIENCE Works、SOLIDWORKSに関する最新テクノロジーについて紹介する予定だ。
また、キーノートスピーカーとして、四足歩行ロボット「Spot」で有名なBoston Dynamicsの創設者であるマーク・レイバート氏が登場。他にもゲストスピーカーとして、セルフバランス型一輪電動ボード「Onewheel」を開発するFuture MotionのCEO 兼 創設者のカイル・ドークセン氏、フードテック企業のColdSnap 代表のマシュー・フォンテ氏などが登壇する。
2日目、3日目のゼネラルセッションも注目だ。「3DEXPERIENCE Works in Action」というテーマで行われる2日目のゼネラルセッションでは、クマー氏が3DEXPERIENCE WorksとSOLIDWORKSの未来について触れ、設計、シミュレーション、ガバナンス(データ管理)、製造、マーケティングにおける最新の活用事例などを紹介する。
ゲストスピーカーには、波力エネルギー技術を活用した海洋管理ソリューションを手掛けるDolphin Labs チーフエンジニアのクリス・ラウチ氏や、自転車メーカーであるCALOI プロダクトエンジニアのレアンドロ・ティモティオ・ダ・シルバ氏(同社のデザイナー 兼 シミュレーションアナリストのダニエル・ガランテ氏も登壇)などが名を連ねる。
そして、最終日(3日目)の午後に行われるゼネラルセッションでは「Community Celebration」をテーマに、ユーザーコミュニティーの成果やコラボレーションの可能性について紹介。キーノートスピーカーとして、世界的工業デザイナーでKarim Rashid 創設者のカリム・ラシッド氏が登壇する。その他、ゲストスピーカーとして、独立系ロボットハブのMassRobotics 共同設立者 兼 最高責任者のジョイス・シドポロス氏や、The Fab Foundationのオペレーション担当副社長であるルチアーノ・ベトルディ氏らが登壇予定だ。
MONOistでは、現地からの速報記事や会期後のレポート記事などを順次掲載していく予定だ。
3DEXPERIENCE World 2025 現地レポート
- 宇宙開発都市ヒューストンでユニバースを叫ぶ!? 3DEXPERIENCE World 2025開幕
- AIのパワーを誰でも最大限に引き出せる「SOLIDWORKS」で限界なき成長へ
- 設計開発の在り方が大きく変わる!? AI搭載の仮想コンパニオン「AURA」とは
- ダッソーとAppleが提携、「Vision Pro」向けアプリを2025年夏にリリース
- SOLIDWORKSの利点をビジネスに 受注仕様生産を支援する「SOLIDWORKS CPQ」発表
- Boston Dynamics創業者が語る ロボットづくりの本質
- 赤から青、そして青から赤へ 「3DEXPERIENCE World 2025」で感じた変化
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ダッソー・システムズの新CEOダロズ氏が事業戦略や今後の方向性について言及
ダッソー・システムズは年次イベント「3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2024」に併せてプレスブリーフィングを開催。ベルナール・シャーレス氏に代わって、2024年1月からCEOに就任したパスカル・ダロズ氏が同社のビジョンや方向性などについて語った。SOLIDWORKSのこれまでとこれから――プラットフォームやAIが何をもたらすのか
ダッソー・システムズは年次イベント「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2024」を開催した。本稿では「3DEXPERIENCE Works」ポートフォリオの提供価値、そして進化を続ける「SOLIDWORKS」の方向性が示されたキーノートの模様を紹介する。最新版「SOLIDWORKS 2025」とともに、パワーユーザー向け新パッケージも発表
ダッソー・システムズは、3D設計/エンジニアリングソリューション「SOLIDWORKS」の最新バージョン「SOLIDWORKS 2025」に関する記者説明会を開催。SOLIDWORKS 2025に搭載される主な新機能の紹介の他、新たなパッケージ「SOLIDWORKS Ultimate」について発表した。AI×設計・解析の未来を示す「Magic SOLIDWORKS」についてシャーレス氏が言及
SOLIDWORKSと3DEXPERIENCE Worksの年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2024」が米国テキサス州ダラスで開幕した。本稿ではダッソー・システムズ、SOLIDWORKSおよび3DEXPERIENCE Worksのキーマンの発表内容を中心に、1日目のゼネラルセッションの模様をダイジェストでお届けする。製品開発だけでなくビジネスの成功も支援するダッソー・システムズのAI戦略
SOLIDWORKSと3DEXPERIENCE Worksの年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2024」が米国テキサス州ダラスで開幕した。本稿では、ダッソー・システムズのAI戦略について詳しい説明があった2日目のゼネラルセッションの模様をお届けする。AI CAD時代の到来で設計者の本質的役割がより明確に
成熟したCAD業界に変化をもたらそうとしているAIの波。2024年を振り返ってみてもCADベンダー各社はAI活用に関するメッセージを積極的に発信しており、2025年はさらにその傾向が強まることが予想されます。2025年メカ設計フォーラム新年展望では、CADツールに実装されつつあるAI機能の現状をあらためて整理し、今後の方向性やAI時代の設計者の在り方について考察します。