AI×設計・解析の未来を示す「Magic SOLIDWORKS」についてシャーレス氏が言及:3DEXPERIENCE World 2024(1/2 ページ)
SOLIDWORKSと3DEXPERIENCE Worksの年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2024」が米国テキサス州ダラスで開幕した。本稿ではダッソー・システムズ、SOLIDWORKSおよび3DEXPERIENCE Worksのキーマンの発表内容を中心に、1日目のゼネラルセッションの模様をダイジェストでお届けする。
3D設計ソリューション「SOLIDWORKS」とSOLIDWORKSの機能を拡張するイノベーションプラットフォーム「3DEXPERIENCE Works」の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2024」(会期:2024年2月11〜14日/会場:ケイ・ベイリー・ハッチソンコンベンションセンター)が米国テキサス州ダラスで開幕した。
本稿では「IMPACT,INNOVATION,IMAGINATION」をテーマに、同年2月12日(現地時間)に行われた1日目のゼネラルセッションにフォーカスし、ダッソー・システムズ、SOLIDWORKSおよび3DEXPERIENCE Worksのキーマンの発表内容をダイジェストでお届けする。
AIとの対話で設計とシミュレーションが行える未来
ゼネラルセッションの冒頭、ダッソー・システムズ 3DEXPERIENCE Works&CRE(Customer Role Experience)担当 シニアバイスプレジデントのジャン・パオロ・バッシ氏は、クラシックカーの電動化を専門とするE-Muscle Carsが手掛けた電気自動車(EV)版「1965 Ford Shelby Cobra 427」に乗ってステージに登場。SOLIDWORKSユーザーコミュニティーに対して「多くのユーザーが支える世界で最も強力なコミュニティーの1つであり、われわれは長い間ともに歩んできた」(バッシ氏)と感謝を述べるとともに、開催25周年の喜びを分かち合った。そして、バッシ氏はこれまでの25年の歩みと、これからの未来について語る上で欠かせない人物として、ベルナール・シャーレス氏をステージに招いた。
シャーレス氏は2023年末をもって、28年間務めてきたCEO(最高経営責任者)の職を退き、現在は会長の立場で新経営陣を支えている。当初の予定ではダッソー・システムズの新CEOとなったパスカル・ダロズ氏とともに登壇する予定だったが、諸事情によりダロズ氏が欠席となったため、シャーレス氏がこれまでの振り返りと、次の25周年に向けたビジョンについて説明した。
ダッソー・システムズは1997年にSOLIDWORKSを買収して以降、より多くの現場に3Dテクノロジーの裾野を広げ、多種多様な製品開発を支えてきた。さらに、ダッソー・システムズの強力なイノベーション基盤「3DEXPERIENCEプラットフォーム」がプロダクト思考からプラットフォーム思考、エクスペリエンス思考への変化を加速させ、クラウド上のプラットフォームとの連携を前提とした新たなポートフォリオ、3DEXPERIENCE Worksの登場がSOLIDWORKSの能力をより一層高め、さらなる普及を後押ししてきた。
そして、こうした動きに対して、より大きなインパクトをもたらし、設計および製造の未来を変える可能性を秘めているのがAI(人工知能)の活用だという。
その具体的なイメージとして、シャーレス氏は3DEXPERIENCEプラットフォーム上での、AIを基にしたモデリング&シミュレーション体験について言及。「私はこれを『Magic SOLIDWORKS』(AIにより魔法のような体験がもたらされるSOLIDWORKS)と呼んでいる」(シャーレス氏)と述べ、フリーハンドのスケッチを起点に、AIと対話しながら電動自転車のハンドルバーの設計案(複数の3Dモデル)を導き出し、シミュレーションまで実行できる未来の製品設計のイメージについてデモ映像を交えて紹介した。
以上のような新たなテクノロジーを紹介したシャーレス氏は「今後あらゆるアプリケーションを通じて、さまざまなデザインアイデンティティーを作成、最適化、評価するための新しいタイプのAIベースインタフェースを提供する予定だ」と述べている。
さらに、AI活用においては知的財産権の保護の観点からも高度なデータセキュリティと共有の仕組みが求められる。これに対し、シャーレス氏は「クラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームは最高レベルのセキュリティ基準を満たしており、サイバーセキュリティがいかに重要であるかをわれわれは理解している」と強調。将来そうした基盤の上で、モデリング&シミュレーションとAIを統合し、バーチャルツイン/バーチャルユニバース環境を構築することで、巨大な情報資産から新しい価値を生み出し、それを共有することが可能になるという。「今回紹介したAIを活用した新しいデザインエクスペリエンスについては、今後12カ月以内に利用可能な状態で提供される見通しだ」(シャーレス氏)。
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