SOLIDWORKSのこれまでとこれから――プラットフォームやAIが何をもたらすのか:3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2024(1/3 ページ)
ダッソー・システムズは年次イベント「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2024」を開催した。本稿では「3DEXPERIENCE Works」ポートフォリオの提供価値、そして進化を続ける「SOLIDWORKS」の方向性が示されたキーノートの模様を紹介する。
ダッソー・システムズは2024年11月15日、「SOLIDWORKS」ユーザー向けの国内年次イベント「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2024 −継承と革新の30年−」を開催した。
SOLIDWORKSは「Windows 95」が登場した1995年に販売を開始しており、先日リリースされた「SOLIDWORKS 2025」の発表で30年目を迎える。同イベントでは、ダッソー・システムズの「3DEXPERIENCEプラットフォーム」および12の製品ブランドの高度な機能を提供し、SOLIDWORKSを拡張する「3DEXPERIENCE Works」ポートフォリオの提供価値、そして進化を続けるSOLIDWORKSのビジョン/方向性などが示された。本稿では、キーノートの内容を紹介する。
「3DEXPERIENCE Works」はSOLIDWORKSユーザーに何をもたらす?
まずは、「3DEXPERIENCE Worksが今日SOLIDWORKSにもたらす価値」をテーマに登壇したダッソー・システムズ 3DEXPERIENCE Works&CRE(Customer Role Experience)担当 シニアバイスプレジデントのジャン・パオロ・バッシ氏の講演内容から見ていこう。
講演の冒頭、バッシ氏はガートナーが発表した「先進テクノロジーにおけるインパクトレーダー」や欧州委員会が提唱する「インダストリー5.0」を引き合いに、世界と産業が変化し続けていることを紹介。さらに、マッキンゼーの文献を引用し、「企業の業績向上は、設計部門とその他全ての部門との統合、コラボレーションの実現が重要である」(バッシ氏)と強調する。
そして、社会を取り巻く環境も、人間中心で持続可能な循環経済(サーキュラーエコノミー)、そして製品そのものではなく、製品から得られる体験が価値となる経験経済(エクスペリエンスエコノミー)が融合して、生成経済(ジェネレーティブエコノミー)へと向かうことを示唆し、そこでは「常に利用可能で、安全かつ最新状態の単一のクラウドプラットフォーム上に、人、アイデア、データ、ソリューションを結び付けることで持続可能な価値が創造される」とバッシ氏は説明。その基盤となるものが3DEXPERIENCEプラットフォームであり、「プラットフォームの力でSOLIDWORKSを拡張するものが3DEXPERIENCE Worksポートフォリオだ」(バッシ氏)と訴える。
3DEXPERIENCE Worksポートフォリオは、「設計/エンジニアリング」「シミュレーション」「製造/生産」「マーケティング/セールス」「ガバナンス(データ管理)」の5つのドメインを対象に、エンドツーエンドの製品開発を支援。これらドメインに対して、SOLIDWORKSの他、クラウドPLM、マルチフィジックスシミュレーション、バーチャルファクトリーの4つに分類されるパッケージ群を展開する。
さらに、バッシ氏は3DEXPERIENCE Worksが提供する価値として、(1)統合された環境、(2)クラウド、(3)あらゆるもののバーチャルツインの3つを挙げる。
(1)統合された環境とは、ファイルベースではなくデータモデルによる統合管理、柔軟なコラボレーション、統一されたユーザー体験といった3DEXPERIENCEプラットフォームがもたらす価値そのものだ。(2)クラウドは、いつでも、どこからでも、デバイスを問わずアクセスでき、最先端のセキュリティとパワフルなコンピューティングリソースを備えた環境であるクラウドの利点を指す。そして、(3)あらゆるもののバーチャルツインは、システム、製品、プロセス、行動の全てをモデル化し、仮想世界で現実世界のあらゆる事象をシミュレーションできること、バーチャルとリアルをつなげて実オブジェクトを更新できることを意味している。
講演では、SOLIDWORKSおよび3DEXPERIENCE Worksを活用し、ビジネス変革につなげているいくつかの企業を紹介した。その中で、日本企業の事例として取り上げられていたのが、長野オートメーションだ。同社は、SOLIDWORKSで大規模な設計チームの設計生産性の向上を図るとともに、3DEXPERIENCE Worksを活用し、データ管理/共有、コラボレーションを実現。社内外の関係者同士が、いつでもどこからでも常に最新のデータにアクセスできる環境を構築し、業務改革を果たしたという。
「3DEXPERIENCE Worksは、SOLIDWORKSユーザーのことを念頭に置いて構築されたポートフォリオだ。われわれの目標は、世界中の企業が今日の製品開発における大きな課題を克服できるように支援することだ」(バッシ氏)
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