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生成AIで変わる自動車のAIアシスタント、SDVの布石としての役割もMONOist 2024年展望(3/3 ページ)

ドライバーを理解し、的確にサポートするAIアシスタント。定番ともいえるコンセプトで、まだ実現しきれていない部分も残っていますが、2024年の今、リアリティーを持って改めて提案されています。

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 スマートフォンやPCで利用しているサービスを持ち込めるだけでなく、AIアシスタントがドライバーの様子をうかがうことも重要です。セレンスは、感情認識技術を手掛けるSmart Eyeとの共同開発で、表情や視線を分析する機能をAIアシスタントに統合し、CES 2024でデモンストレーションを行いました。ドライバーの見ている方向、発話中の反応や感情などを判断し、よりパーソナライズされた対話の実現につなげます。

 Robert Bosch(ボッシュ)は、ソフトウェアデファインドビークル向けの便利で役立つサービスの開発には、業界のパートナーと協力しながら、可能な限り多くの専門知識を取り入れるべきだと考えています。そのパートナーの1社がAmazon Web Services(AWS)で、ボッシュのスマート家電との連携をサービス例として紹介しました。

 ドライバーモニタリングシステムを生かして、ドライバーが帰宅途中で疲れていると認識すると、AlexaのようなAIアシスタントがコーヒーでリフレッシュすることを提案します。ドライバーがコーヒーを飲みたいという趣旨の返事をすると、ボッシュが開発した豆から全自動でコーヒーをいれるエスプレッソマシンが、ドライバーの帰宅に合わせてコーヒーを用意する、という機能です。

 まだ帰宅しない場合はドライバーモニタリングシステムでドライバーの視線を追跡し、レストランやカフェなどドライバーが見ているものを特定してAIアシスタントは提案に生かします。AWSのクラウドを活用することで、ドライバーが見ていたお店の営業時間や混雑度合い、口コミ評価、ルート上の別のおすすめのお店などをリアルタイムに提案します。これらは、ボッシュとAWSの協業によって製品化される機能のごく一部であるそうです。

ハードウェアの協力も不可欠

 AIアシスタントがインタフェースとなって車内で使う機能には、さまざまな協力関係が必要である様子が伺えます。主にソフトウェア面での協力の動向を紹介してきましたが、ハードウェア側も生成AIの活用やソフトウェアデファインドビークルとしての機能に対応を進めています。

 インテルはCES 2024において、Universal Chiplet Interconnect Express(UCIe)をベースとした業界初のオープンなチップレットプラットフォームをソフトウェアデファインドビークル向けに提供すると発表しました。自動車メーカーが求める拡張性と処理性能を提供する他、インテルのAIアクセラレーション機能によって乗員のモニタリングなどAI活用を後押しします。

 また、インテルは生成AIの動作や電子ミラー、オンライン会議でのビデオ通話、ゲームなど12のワークロードを複数のOSで同時に実行するデモンストレーションを行いました。今回のCESで提案された車内での過ごし方をそのままカバーしています。

 インテルのソフトウェアデファインドビークル向けSoCファミリーを採用する最初の自動車メーカーはGeely(吉利汽車)傘下の高級ブランドZEEKRです。Geely Holding Group 社長兼 ZEEKR Intelligent Technology CEOのAndy An氏は、「インテルのAIアクセラレーション機能により、生成AIを利用した音声アシスタントなど次世代の体験が創出でき、サービスの拡張性やアップグレードが継続的に実現できる」とコメントしています。

 「ソフトウェアデファインドビークル」という言葉はソフトウェアが優先され、重視されるかのように思えますが、実際はハードウェアの進化や協力なくして実現しません。ボッシュのプレスカンファレンスでも、「(ソフトウェアデファインドビークルのような)未来のモビリティを1社だけで実現できる企業がないことは明らかです。業界全体での協働が非常に重要です」とボッシュ 取締役会メンバーのTanja Ruckert氏はコメントしています。

 生成AIや大規模言語モデルを使ったAIアシスタントが単なるおしゃべり機能や既存の機能の延長線上にとどまることなく、付加価値やよりよい利用体験を提供するには、クルマの中から外まで、ソフトウェアからハードウェアまでを網羅した広範な協力体制が不可欠です。協力する企業を選ぶには、「車内で何をできるようにするか、どのように過ごしてほしいか」を自動車メーカーが描いておく必要があります。自動車メーカーが描く使い方だけが正解なのではなく、乗員に何が必要なのか、どう改良すべきかを乗員を観察して分析しながら検証し続けることも重要です。

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