ペレット押し出し方式大型3Dプリンタ「EXT Titan Pellet」導入の決め手と可能性:日本ものづくりワールド 2023
スリーディー・システムズ・ジャパンは「日本ものづくりワールド 2023」に出展し、ペレット押し出し方式大型3Dプリンティングの普及に向けたスワニーとの協業について、ブース内特別セッションで紹介した。
スリーディー・システムズ・ジャパン(以下、3D Systems)は「日本ものづくりワールド 2023」(2023年6月21〜23日、東京ビッグサイト)内の「第6回 次世代3Dプリンタ展(AM Japan)」に出展し、ペレット押し出し方式大型3Dプリンティングの普及に向けたスワニーとの協業内容や、スワニーが国内初導入した3D Systemsの「EXT 1070 Titan Pellet 3Dプリンタ」の特長などについて、ブース内特別セッションで紹介した。
3D Systemsはブース内特別セッションでスワニーとの協業内容について詳しく紹介した。左がスワニー 代表取締役 CEOの橋爪良博氏、右がスリーディー・システムズ・ジャパン インダストリアルソリューショングループ セールスディレクターの並木隆生氏[クリックで拡大]
協業内容は既報の通り、スワニーが2023年10月に開設するデモセンター(長野県伊那市)に、ペレット押し出しヘッドとCNC切削スピンドルツールヘッドを搭載したEXT 1070 Titan Pellet 3Dプリンタを導入し、3D Systemsと共同で大型部品の積層型および切削型の製造能力を実証する他、一般量産ペレットおよびリサイクルペレット材料の使用を可能にするプリントパラメーターの開発を進める。そして、これら活動の成果を基に、スワニーは設計サポートを含む3Dプリンティングサービスを国内を含むアジア太平洋地域で展開する計画だ。
日本ものづくりワールド 2023 ブースレポート[メカ設計編]:
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- ペレット押し出し方式大型3Dプリンタ「EXT Titan Pellet」導入の決め手と可能性
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- 大手3D CADベンダー3社が夢の共演!? 設計者に最適なワークステーションを訴求
- 3Dデータのみで板金溶接品の手配が可能に、「meviy」の商品がさらに進化
- ジョッキ飲みできる缶オープナーなど、デザインを中核としたモノづくりを発信
- オリジナルマインドが空圧式射出成形機の試作機を披露、2023年秋に販売開始予定
- Formlabs、3Dプリンタの常時稼働を実現する自動化装置や難燃性レジンを訴求
ブース内特別セッションに登壇したスワニー 代表取締役 CEOの橋爪良博氏は、EXT 1070 Titan Pellet 3Dプリンタの導入の決め手について、(1)1000×1000×1000mmの大型造形が可能な点、(2)射出成形用のペレットが使用でき、従来のフィラメント式と比較して材料コストを約10分の1に抑えられ、造形スピードも約10倍高速化できる点、(3)CNC切削スピンドルツールヘッドの搭載により高い表面品質と寸法精度を実現できる点を挙げ、「これら3つの特長は従来の3Dプリンタにはなかったものだ」(橋爪氏)と述べる。
さらに、EXT 1070 Titan Pellet 3Dプリンタであればスワニーがやりたかったことを実現できるとし、橋爪氏は「スワニーでは、早く、安く、量産と同じ材料で、金型レスで試作品を作りたい、小ロット生産したいといった声に応えるため、『デジタルモールド』に代表されるさまざまな技術を生み出してきた。しかし、対応できるサイズには限りがあり、大型のものを作るとなるとどうしても金型を起こす必要があるため、これまではそうした依頼を断らざるを得なかった……。この課題を解決できるアプローチを長年模索してきた中、ようやく出会えたのがEXT 1070 Titan Pellet 3Dプリンタだ」と強調する。
こうした背景に加え、設計、試作、製品化支援を日頃から行っているスワニーでは、設計者自身が射出成形したり、金型を製作したりしていることもあり、「EXT 1070 Titan Pellet 3Dプリンタを使いこなすための技術が社内にはじめから備わっていた」(橋爪氏)ことも導入を後押しする要因になったという。また、スワニーは2023年5月から地域の社会福祉協議会や企業と共同でサステナブルなモノづくりの実現を可能とするフレームワーク「アップサイクリング・ワークスペース(UCWS)」の活動を推進しており、橋爪氏は「サステナブルなモノづくりへの要求が高まる今、リサイクルペレットを使用できる点も導入の決め手の1つとなった」と説明する。
特別セッションでは、実際にEXT 1070 Titan Pellet 3Dプリンタで造形したサンプル品をいくつか紹介した。
まずは、EXT 1070 Titan Pellet 3DプリンタとCF(炭素繊維)入りABSペレットで造形した航空機用部品を製作する際に用いるFRP(繊維強化プラスチック)加工用の型(レイアップモールド)だ。従来FRPの加工には大きな金型が用いられるが、造形時間12時間、材料使用量9kgと短時間かつ材料コストを抑えるかたちで樹脂製の3Dプリント型を実現した(ノズルサイズ2mm、レイヤー厚1mm)。なお、CNC切削スピンドルツールヘッドによる仕上げは行っていないが、一般的なペレット式大型3Dプリンタと比べ、積層痕が目立たず、仕上げなしでも十分な品質を確保している。
金型では製作できない形状のラウンジチェアも、EXT 1070 Titan Pellet 3DプリンタとCF ABSペレットで造形している。十分な強度を持たせるため、ノズルサイズ4mm、レイヤー厚0.8mmの設定で、「ぐっと押し付けながら造形することで樹脂密度を高めて強度を確保しつつ、表面の仕上がりも担保している」(橋爪氏)。造形時間は45時間で、材料使用量は40.8kg。こちらもCNC切削スピンドルツールヘッドによる仕上げはしていないが、表面の仕上がりは非常にきれいだった。
さらに、砂型鋳造で使われる木型を3Dプリント型に置き換えるケースも考えられるという。「3Dプリントした型から鋳造用の砂型を作るため、鋳造品に転写される表面精度がとても重要となる。EXT 1070 Titan Pellet 3Dプリンタであれば木型の形状を高速造形した後に、鋳造品に転写される表面をCNC切削スピンドルツールヘッドで加工し、きれいに仕上げられる。実は、米国ではこのような活用が多く見られる」と、スリーディー・システムズ・ジャパン インダストリアルソリューショングループ セールスディレクターの並木隆生氏は説明する。
特別セッションでは、これらの他にも、短時間で造形した靴のインソールや、大型のダクトを一体造形したサンプルなども紹介していた。
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